埼玉で補助金問題を考える公開学習会/「『重大な人権侵害』重く受け止めるべき」
2016年06月01日 17:23 主要ニュース 民族教育公開学習会「埼玉県による朝鮮学校への補助金凍結・不支給問題を考える~埼玉弁護士会による埼玉県への『警告』を紐解く~」(主催・外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク埼玉)が5月31日、浦和コミュニティーセンターで行われ、同胞、日本市民ら91人が参加した。
1982年度から2009年度まで埼玉朝鮮学園に補助金を支給してきた県は、政治的な理由などを持ち出し、2010年度から同学園への補助金支給を停止。これに対し、埼玉弁護士会(石河秀夫会長)は、昨年11月25日、上田清司県知事に対し「人権侵犯救済申立事件に関する決定(警告)」を出した。朝鮮学校への補助金不支給問題で、弁護士会による最も厳しい意見表明である「警告」という決定が下されるのは全国初。
学習会では、この「警告」の意義とともに、補助金問題の経緯や「文科省3.29通知」について報告が行われた。
司会を務めた「ネットワーク埼玉」の嶋田和彦さんは報告に先駆け「埼玉では全国に類を見ない、『警告』が出された。その重みというものを埼玉県民に広め、運動を盛り上げていく必要がある」と学習会の趣旨を説明した。
「警告」を紐解く
「埼玉弁護士会決定『警告』の解説」と題して報告した田中重仁弁護士は、埼玉の弁護士が全員加入する公共的な団体である弁護士会から「『拉致問題等の未解決』を理由として申立人への私立学校運営補助金の支給を凍結していること自体が、積極的に差別を助長しかねないきわめて重大な人権侵害と言わざるを得ない」として発せられた「警告」は、会則に従って設置された人権擁護委員会の調査に基づき、弁護士会の総意で出されたものだと強調。同会の調査書において、同学園へ支給される補助金について「私立学校振興助成法および私立学校運営費補助金交付要綱により27年間交付されて、具体化されており、合理的理由なく、はく奪されない」と記されていることに触れ、「補助金を求めることの権利性がしっかりと記されており、これは県の裁量権で左右されるものではない」とその社会的意義を述べた。
「朝鮮学校の歴史と補助金問題の経緯について」と題して報告した申景秀弁護士は