芥川賞作家・目取真俊さん講演会/権力の弾圧を跳ね返す運動の強さを
2016年05月17日 13:29 主要ニュース 対外・国際「うちなーんちゅは反基地運動のために生まれたのではない」
目取真俊講演会「辺野古のいまを訊く!」(主催・路上で抗議する表現者の会)が14日、法政大学で行われ、約270人の市民が参加した。
作家の中沢けいさんとともに同会を呼びかけた精神科医の香山リカさんは、目取真俊さんが米軍普天間飛行場への名護市辺野古移設の抗議活動中に拘束・逮捕されたことに触れ、「ここ数年、反原発、反ヘイトスピーチなどさまざまな場所で市民が直接声を上げるようになった。その一方、言論やメディアに公権力が介入する状況が生まれている。作家の目取真さんはじめ多くの表現者が実際に海上や路上で声をあげる中起こった今回の逮捕は沖縄の問題に限定されるのではなく、今各地で起こっている行動と地続きでつながっている」と会の趣旨を語った。
不当逮捕の裏側
目取真俊さんが逮捕・拘束されたのは4月1日のこと。当時の一部報道で目取真俊さんが「カヌーで立ち入り禁止区域を越え、シュワブの陸地部分に許可なく侵入した」と自発的に陸に上がったような報道がなされたことについて、目取真さんは「カヌーチームのメンバーが米軍の警備員に腕をつかまれているのを見て抗議すると、陸に無理やりひきずられ逮捕された。メディアは警察発表をそのまま垂れ流しただけ」と不当逮捕の実態を明らかにした。また米軍基地内に拘束された際の状況について「8時間の間、ぬれたウエットスーツを着て拘束された。目の前では腰のホルスターに拳銃をさした憲兵3人が交代で見張っている。そのうちの一人は暴動鎮圧用にみえる銃を握りしめている。こういったことが今の日本で起こるんですよ」とその異常さを指摘する。さらに拘束されている間、幾度も弁護士との接見を求めたにもかかわらず、憲法で保障されているその権利さえも認められなかったとし、「基地が治外法権といわれるわけを身をもって知った。日米地位協定が日本の憲法よりも上位にあるような状況が作られている。これを『基地だから仕方ない』と思ってしまったらおしまいだ」と語った。
那覇地検は翌日、目取真さんを処分保留で釈放した。目取真さんは5月12日、拘束は適正な手続きを取っておらず違法だとして、国に慰謝料など60万円を求め、那覇地裁に提訴した。
「基地依存」のうそっぱち
「うちなーんちゅは反基地運動、反戦運動のために生まれてきたわけではない。本も読みたい、小説も書きたい、娯楽を楽しみたい。そうした普通の感情を押し殺してでも、戦わざるを得ない。これはなんでなのか」