「焼肉に近いのはステーキか?ラーメンか?」/埼玉県青商会主催の特別授業
2015年10月29日 14:26 民族教育埼玉初中の中3生徒対象に
埼玉初中の中級部3年生(32人)を対象とした特別授業が10月24日、同校で行われた(主催=埼玉県青商会)。この特別授業は3回目で、今回の講師は、朝鮮大学校経営学部の趙丹准教授。
前回の授業のキーワードは「問題解決能力」で、今回は「差別化」と「独自性」。
埼玉県青商会では、ビジネスの面から生徒たちが朝鮮学校に対する誇りを感じられるような内容を模索し、今回の授業を依頼した。趙准教授は朝大の経営学部1年生の学生を対象に経営学入門として行う「マネージメント特講」で行っている内容を用意した。その中でも、「日本の焼肉ビジネスは差別化と独自性を発揮しながら発達してきた」(趙准教授)という理由で、朝鮮人の代名詞とも言える「焼肉」がテーマとなった。
授業はまず、朝鮮料理、高級レストラン、寿司、ステーキ、居酒屋、ファミレス、サンドウィッチ(ハンバーガーなども含む)、ラーメンの中から「どれが焼肉に近いと思うか」という問いに対して、各自が1つ選択し、同じものを選んだ者同士で集うところから始まった。
グループに分かれた後、それぞれが選んだ分野の「どういうところが焼肉に近いか」を、各自が配られた付箋に書き、グループごとの大きい紙に張り付けていく。次に、大きな紙に張り付けられた付箋を整理し、似たり寄ったりの意見は1つにまとめ、これを各グループの代表者が順次発表する。それに対して趙准教授が評価した後、一つひとつに対して具体的に解説した。
趙准教授は、全ての分野に焼肉との共通点があり、各分野での長所が現在の焼肉ビジネスに生かされていることについて説明した。例えば、「叙々苑」は高級焼肉店、「安楽亭」はファミレス式焼肉店、「牛角」は居酒屋風焼肉店としての風貌を創りあげ、現在のビジネスモデルにいたるという。
趙准教授は研究結果として、焼肉に一番近いのはサンドウィッチとラーメンだと話した。その理由として、プラットフォームフード(食べる人が好みに合わせて自分で組み合わせを決めることができる料理)として、同じ分野でも他店との差別化を図りやすいし、外国人の味覚にも合わせて料理を多様に変化させることができるため、海外に進出しやすいということが挙げられた。
趙准教授の具体的な説明を熱心に聞く生徒たちからは感嘆の声があがった。
実家が焼肉店を営んでいるという文烔晶さん(中3)は、「最初は単純にステーキだろうと思ったが、いろんな話を聞くうちに質問の意図や思考方法が分かり、焼肉ビジネス自体の考えが深くなった。とても興味を惹かれたし、勉強になった」と話した。
埼玉県青商会の梁衡宇副会長兼宣伝広報部長(39)は、「この企画は今の社会に求められているコミュニケーション能力、創造力を育むような体験をさせてあげたいという思いから、埼玉県青商会が独自に行っている」としながら、「強いもの、大きいものを真似しようという風潮がある中で、経営戦略としてはまったく逆の道を行くことが他店に勝つためのセオリーだといえる。ウリハッキョの生徒たちが『ウリ』という独自性を生かせれば、他との差別化を図れるし、大きな武器となるだろう」と話した。
(李哲史)