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〈一枚の写真から〉私の中で生き続けるハルベ

2015年08月29日 12:10 コラム
K363

1959年12月20日 新潟港に入港する第2次帰国船を歓迎するウェハルべ(写真中央)

祖国解放70周年。祖父母たち在日1世が日本に渡り70余年、あるいはもっとはるかに長い歳月が流れた。そして分断して70年が経つ。祖国統一を心から願い、枝切りばさみを器用に操り、庭の盆栽を朝鮮半島の形に整えていたハルベ。しかし、ハルベの指の先は解放前に強いられた軍用工場での重労働で斜めに傾いてしまっていた。慶尚北道の出身であるハルベは日本帝国主義を倒して、解放を成し遂げた金日成主席が指導する朝鮮民主主義人民共和国を自らの祖国と慕い続けた。兄弟や家族の消息を知らないまま、日本の埼玉県で祖国統一の日を心待ちにしていた。94年7月に主席が逝去されたニュースを見て畳に何度も頭を叩きつけて泣き崩れたハルベ。当時中学1年生だった私には衝撃的な光景だった。普段は無口で故郷の話などもあまり話したがらなかったハルベ。そんなハルベが人目もはばからず頭を叩きつけながら「アイゴー」と号泣する姿は今でも鮮明に脳裏に焼きついている。それはまだ幼い私の心に、祖国の海外公民であるという自覚を芽生えさせてくれたきっかけの一つでもあった。

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