〈取材ノート〉大阪でパリ襲撃事件を思う
2015年01月19日 13:15 コラム7日、フランス・パリで17人の犠牲者を出す週間新聞「シャルリ・エブド」襲撃事件が起きた。「表現の自由」を巡る見解の相違が大惨事へとつながった。
事件の起きた日、大阪駅前では「日本軍『慰安婦』問題・関西ネットワーク」主催の100回目となる抗議行動があった。この「水曜行動」は2009年10月から毎月第1水曜日に大阪駅前で行われ、権力者たちに日本軍「慰安婦」被害者への謝罪と賠償を求め声をあげている。
参加者によると、「水曜行動」は当初、人通りの多い大阪駅前の歩道橋で行われていた。が、「在特会」の妨害によって場所の変更を余儀なくされたという。
警察は、人種差別の暴言を吐く「在特会」に対し、ただ傍観していたという。日本にはヘイトスピーチ(憎悪表現)を直接取り締まる法律がないからだ。そう話すある参加者の口調と表情には憤りがにじみ出ていた。
他民族に罵詈雑言を浴びせ攻撃する宣伝活動が本当に「表現の自由」なのかを改めて考えさせられた。
パリや大阪のように「表現の自由」という「凶器」によって、深い傷を負ったり、憤りを感じている人たちは世界各地に少なくない。
憎しみが憎しみを増幅させる負の連鎖を断ち切るためには、差別のない社会をつくろうとする一人ひとりの思いやり、そして互いへの理解と尊重が不可欠だと思う。
(俊)