沈没する政権
2014年05月16日 09:52 春・夏・秋・冬「珍島沖に沈む青瓦台」。南の大統領府のミニチュアを使った合成写真がインターネットを通じて広がっている。セウォル号沈没事故に端を発した反政府世論は、治まる気配がない。
∇この1ヶ月で大統領の支持率は暴落した。6月の統一地方選を控え、焦りを募らせる政府与党と保守系メデイアは、流言飛語による巻き返しに躍起だ。「親北左派」が事故に乗じてを反乱を先導していると吹聴し、政府非難の集会に参加した学生たちを「日雇いアルバイト」だとして問題視した。軍部は、例の「無人機事件」を「北の仕業」と断定する「調査結果」を発表し、世論の関心を分散させようとしている。
∇惨事に対する責任逃れに終始し、権力に汲々とする姿は、反感を増幅させるだけだ。人々の怒りは国境を超え、連帯を生んでいる。在米同胞は募金を行い、ニューヨーク・タイムズに政府の無能さを告発する全面広告を載せた。転覆した旅客船の絵に“セウォル号と共に朴槿惠政権も沈没した”とタイトルをつけた。
∇合成写真で使われた青瓦台のミニチュアは、今後、追悼集会などで活用されるいう。セウォル号の船体が引き揚げされた時点で、それを海に沈めるパフオーマンスも計画された。インターネットで拡散した写真をよく見ると、沈没する建物の前でゆれ動く大統領執務室の椅子が、波にのまれそうになっている。民心に逆らう権力者の行末を見事に暗示している。(永)