〈取材ノート〉「ヒョンニム」の温かさ
2014年04月24日 11:02 コラム大分県在住の兄弟2人が今年度から九州朝鮮中高級学校の中級部に編入、入学した。
入学式(5日)では緊張のあまり表情を硬くしていた兄弟だったが、ある人物の顔が目に入った瞬間、笑顔が弾けた。
その人物とは、兄弟が同校に通う直接的なきっかけになった一日体験入学でお世話になった、寄宿舎の先輩だった。
一日体験入学後も継続して兄弟たちと連絡を取り続けた寄宿生たち。その一人に話を聞いてみると、「日本学校での悩みやウリハッキョ(朝鮮学校)の楽しさについて話しただけですよ」と飾らない口調でにっこり。教員たちも感心したように、彼らの行動は誰に言われた訳でもなく「かわいい後輩のために自然と行ったもの」だったと言う。
「後輩に対する面倒見のよさ」は、今も昔も変わらず同胞社会に深く根づいている。
日本学校出身である兄弟のアボジも、初めて青商会の活動に飛び込んだ時は「世話を焼いてくれた先輩たちのおかげですんなりと仲間の輪に入っていけた」と話す。
北九州朝鮮初級学校の入学式でも、新入生のそばに付き添う「幼い在学生の頼もしい姿に感動した」という父母たちの声が聞かれた。
「ヒョンニム(兄さん)」と呼びながら駆け寄る大分の兄弟と笑顔で応える先輩寄宿生。仲むつまじくじゃれあう姿は実の兄弟のように微笑ましかった。
大分での取材時は、名物の別府温泉に足を運ぶことができなかった。それでも滞在期間に同胞社会の温かさにどっぷり浸かり、記者の心はすっかり洗われていた。
(徳)