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師岡康子著「ヘイト・スピーチとは何か」出版記念シンポジウム

2014年02月05日 13:52 主要ニュース

差別と暴力に立ち向かう

会場には予想を上回る聴衆が詰めかけ、関心の高さを示していた

会場には予想を上回る聴衆が詰めかけ、関心の高さを示していた

1日、東京・千代田区の岩波セミナールームで、岩波新書・師岡康子著「ヘイト・スピーチとは何か」出版記念シンポジウム(主催=同実行委員会)が開かれ、著者で大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員の師岡康子さん、一橋大学名誉教授の田中宏さん、東京造形大学教授の前田朗さん、弁護士の金哲敏さんらが発言した。会場には予想を上回る約100人が詰めかけ、関心の高さを示していた。

開会にあたって、同書の担当編集者である十時由紀子さんが挨拶をした。十時さんは、自身が「ヘイト・スピーチ」という言葉を始めて知ったのは、フェミニズムの文脈で、石原慎太郎前東京都知事の「三国人」発言を通じてだとしながら、「本を作るにあたって、是非女性がいいと思い、国会図書館で関連文献を調べて、師岡康子先生にお願いした」と出版の経緯を述べた。

師岡さんは、「ヘイト・スピーチ」という用語について、日本では「憎悪表現」と直訳されたこともあり、未だ一部では単なる憎悪を表した表現や相手を非難する言葉一般のように誤解されている。そのことが法規制を巡る論議にも混乱を招いていると同書の中で指摘している。そして、ヘイト・スピーチは、「人種的烙印の一形態としての攻撃」であり、標的とされた集団が「取るに足りない価値しか持たない」というメッセージであり、それ自体が言葉の暴力であると同時に、物理的暴力を誘引する点で、単なる「表現」を越える危険性を有し、「人種的偏見、偏見による行為、差別、暴力行為、ジェノサイド」の5段階の「憎悪のピラミッド」の一部で、「差別煽動」と意訳するほうが適切だと指摘している。

シンポジウムでは、ヘイト・スピーチと日本社会に巣食う差別をなくすため、どうすべきかについて様々な意見が交わされた。

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