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〈国体・ボクシング〉2日目/大阪朝高の2選手がベスト8進出

2013年10月05日 19:35 スポーツ
李健太選手(青)

李健太選手(青)

東京・日野市市民の森ふれあいホールで行われている「国体」のボクシング競技が2日目を迎えた。5日の試合には、大阪朝鮮高級学校から2選手、朝鮮大学校と拓殖大学から同胞選手が1選手ずつ出場。大阪朝高の李健太、鄭真選手がベスト8に駒を進めた。

高校ボクシング6冠という偉業をかけ大会に臨んだ大阪朝高の李健太選手(3年、ライト級)は、黒田健太選手(愛媛・松山工業高校)と対戦し、余裕の試合運びで勝利を収めた。1、2Rは、軽やかなステップを駆使し、距離を保ちながら右ジャブ、左ストレートで順調にポイントを稼いだ。3Rも相手のパンチをかわしながら、体力を温存させる戦いぶりで、3-0(30-26、30-26、30-26)で判定勝ちした。

李選手は、「選手たちは、高校最後の大会となる『国体』に死ぬ気で臨んでくる。(6冠の)プレッシャ-も感じるが、初心を忘れずにチャレンジャー精神を持って試合に臨んでいきたい」と語った。

鄭真選手(赤)

鄭真選手(赤)

インターハイで銅メダルに輝いた鄭真選手(3 年、ミドル級)は、同大会の1回戦で拳を交えた増渕浩太選手(山形・日大山形高校)と対戦。「3年間の高校ボクシングで培ってきたものを、焦らずに出し切ろう」と試合に臨んだ鄭選手は、1Rで積極的にパンチを繰り出し、得意の左ストレートを当てる。2Rは、近距離からのコンビネーションでスタンディングダウンを奪うと、3Rにもスタンディングダウンを奪い、3R1分15秒でTKO勝ちした。

王賢吾選手(赤)

王賢吾選手(赤)

一方、成年の部に出場した神戸朝高出身の拓殖大学・王賢吾選手(フライ級、3年)は、田中亮明選手(岐阜・駒澤大学)と対戦した。

リーチを活かしながら、「相手が攻め込んできたところを左ストレートで刺そうとした」という王選手は、1Rは果敢に攻めるものの、2R以降は頭が下がり、相手に距離を詰められ「自分のボクシングができなかった」。結局、2、3R両方で反則を取られてしまい、0-3(25-30、25-30、26-30)で判定負けした。

王選手は、「今後はしっかりと体作りをして、前に前に押していくボクシングをしたい。観客の印象に残るような試合をできるように練習に励みたい」と語った。

「口ではなく、背中で」

金泰秀選手(青)

金泰秀選手(青)

朝大の金泰秀選手(ライト級、体育学部4年)は、佐川遼選手(青森・東京農業大学)と対戦。相手は、今年1月に大学ボクシング日本一に輝いた強豪だったが、金選手は「格上を食ってやろうと、勝ちにこだわり」、気迫あふれるボクシングを展開した。

1Rは、距離をつめてきた相手に効果的なストレート、フックを浴びせる。2Rは、相手の右フックが当たりスタンディングダウンを奪われるが、「ダメージはなかった」。3Rはカウンターを狙いながら冷静に試合を進めたが、0-3(26-30、25-30、26-30)で判定負けした。

息子の勇姿を見届けようと大阪から駆けつけた、慎幸子さん(58)は、「ボクシングをする泰秀のおかげで、自分も多くの人々と出会うことができた。感謝の気持ちでいっぱいだ」としながら、「応援し、支えてくれる人に恵まれ成長することができた息子は、一生に一度しかできない貴重な経験をした幸せ者だ」と笑みを浮かべた。

一時活動を休止していた朝大ボクシング部の中で、3年生の頃から主将を務めてきた金選手をコーチ陣も高く評価した。

飯田幸司コーチは、「情が深く後輩の面倒見がいい泰秀は、ボクシングの面でも努力家だ。指導にあたった当初に比べたらパンチ力が格段に上がり、物怖じしなくなった」と指摘した。任成壎コーチは、「3年で主将を任され、4年生になってからは、朝大ボクシング部を4部から3部に昇格させ、個人でも『全国』の舞台に立った。これは並大抵のことではない。泰秀の闘争心あふれるリング上での姿に、後輩たちも感動していた」と語った。

キャプテンを任されてからは、日常生活から、練習や試合に至るまで、誰よりも全力で挑む「姿勢」を見せてきた。「自分で言うのも難だが、口がうまくないから背中で示すしかなかった」。そう言いながら照れ笑いを浮かべる金選手は、「つらいことを乗り越えたら、必ずいいことがある」と胸に刻み、応援してくれた人々への感謝の気持ちを忘れずに、ボクシングに励んできた。

「後輩たちには、ボクシング部を2部に昇格させ、朝大でも注目を集める部に成長させてほしい。そして、『全国』の舞台に立ち、自分よりもいい成績を残してくれることを信じてる」(金選手)

(文-李永徳、写真-盧琴順)

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