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なぜ朴政権は6.15共同宣言に戻れないのか/埼大・鎌倉教授が談話

2013年06月18日 11:20 主要ニュース

埼玉大学の鎌倉孝夫名誉教授が北南対話を破綻させた南を糾弾する談話を発表した。内容は以下の通り。

朝鮮の祖国平和統一委員会(祖平統)スポークスマンは6月6日、「北南当局会談」の提案を発表した。

歴史的な6.15共同宣言が発表されてから13年。この間、南の李明博政権によって共同宣言は放棄され、朝鮮半島はアメリカ帝国主義の侵略意図の下に一触即発の戦争の危機に陥った。戦争の危機を回避し朝鮮の自主的平和統一、そして非核化をいかに実現するか。この二つの課題は朝鮮半島と北東アジアだけでなく、世界的な緊急課題といってよい。共和国の北南当局間会談の提案は、二つの課題の平和的解決に向けた提起であったと言える。

しかし、6月12、13日に予定されていた北南当局間会談は中止となった。実務会談の中で代表団の「格」をめぐる対立が解消されなかったことが、中止の原因とされている。

南側は柳吉在統一部長官を首席代表とし、北に対して金養建朝鮮労働党書記(統一戦線部長)を首席代表とすることを求めた。北側はこれに対し、祖平統書記局の姜志英局長を首席代表とすることとし、準備を整えた。これに対し南側は統一部長官ではなく、統一部次官を首席代表とすると通報した。

「南側が初めから長官級会談を主張し、統一部長官を送る意向を何度も確約していたにもかかわらず、会談直前に首席代表を格下げした。これは北南対話の歴史ではなかったことで、非常に奇怪な妄動であり無礼無道の極地である」(13日、祖平統スポークスマン談話)として、会議は中止された。

南側は、自らの統一部長官の相手は北側の党統一戦線部長だとし、祖平統の書記局長を代表にするのは「非正常な慣行」「常識や国際基準に合わない」と主張している。

これに関する日本のマスコミの代表的な見解は次のようなものである。「韓国政府関係者は『代表を同格にするのは国際的な常識。これまでがおかしかった。対等の原則を守らなければ、北は別の問題でもさらにかかってくる』と指摘する。背景には北朝鮮が挑発で脅かすたびに対話に応じ、支援してきた『悪循環』に対する、朴槿惠大統領の強い苛立ちがある」(6月13日、朝日新聞)。南側の主張を鵜呑みにした上に、「北」の「挑発」に問題の原因があると動機付けている。

北側の今回の北南当局間会談の提案は、冷静な情勢判断の上に、北と南の自主的平和統一を6.15と10.4の北南首脳の合意に基づいて実行し、それによってこそ朝鮮半島の戦争危機の回避と非核・平和への道が確実に進展するという確固とした方針に基づくものであった。

この間の米帝侵略勢力の(それにつき従う日本と韓国政府)共和国に対する核による先制攻撃策動に対して、共和国は人民大衆の一心団結を固め、毅然と対抗し、戦争を阻止してきた。戦争策動や共和国の体制を崩壊させる軍事暴力による朝鮮の統一は、現実に不可能であることを米帝首脳部に突きつけてきた。

朝鮮半島の統一を望むならば6.15共同宣言に立ち返り、再確認し、北と南が連携・協力してその宣言を具体的に実行していく以外にない。しかもこれは、開城工業地区の正常化、金剛山観光の再開という南側の企業家をはじめとする民衆の切実な期待でもある。

そして、北側は6.15共同宣言発表13周年民族共同行事、7.4共同声明発表41周年を双方の当局が参加し、共同で記念しようという提案もした。

朴槿恵政権はこの時期にかなった北側の真摯な提案を頭から拒否することはできなかった。しかし6.15共同宣言の線に立ち戻ることは、それをぶち壊してきた米帝と国内反動分子の圧力、それに従ってきた自らの政権の手前、容易にはできない。

そこで、今回の北側の提案に同意しながら対話の外観をとりつくろい、会談の中止は北側が南側の代表提案を拒否したことにあると北側に責任を転嫁する欺瞞によって米・日をはじめ、国際世論の同調を得ようとした、と考えられる。

朝鮮労働党統一戦線部長を会談の首席代表にしろという要求自体が不当な要求であり、共和国が従来の交渉以上の祖国平和統一委員会書記局長を首席代表にあてる対応をしたのに対し、南側は統一部長官ではなく「次官」に格下げしたことは、「会談を壊そうとした凶悪な下心の発露」「会談まで対決の場にしようとする下心から発したもの」(祖平統)と捉えるほかない。

そもそもこれまでの北南交渉が「非正常」で「対等の原則」でなかったということ自体、金大中、盧武鉉政権が米帝の圧力に抗しながら懸命に自主を取り戻そうと、合意・成立させてきた交渉の努力と成果を踏みにじるものとなる。

現に実務会談でも共和国側の提案に対し、6.15と7.4の共同記念行事の問題、民間の往来と接触、協力事業の問題など、早急に解決を要する現実の問題について、会談の議題に明記しないよう主張した、と伝えられている。

6.15、10.4の合意を今こそ実行すべきときであるのに、朴槿恵政権はこれを真摯に受け止めず、いったい何をしようというのか。再び戦争の危機をつくり出そうというのか。

南の金寛鎮国防長官は、米国防長官と会談し「北の挑発と脅威は絶対に容認しない」などと言い、2015年に戦時作戦統制権を移譲した後、「米『韓』連合司令部」に代わる「連合戦区司令部」を設け、さらに反共和国軍事謀議に日本の防衛相を引き入れて「北の挑発行為を抑止するために協力する」という共同声明をつくり上げている。

6月に入って米韓合同軍事演習が臨津江一帯で行われている。柳吉在統一部長官は開城工業地区の「国際化」を言い出している。それは、朝鮮民族の尊厳を外部勢力に売り渡す「逆賊行為」である。(6月7日、民主朝鮮)

朴政権が対米追従による危険な戦争の危機を脱却し、民族大団結の力によって朝鮮半島の自主的平和統一実現の方向に転換しうるかどうか、今回の北南会談をめぐる問題は、朴政権の自主性を深刻に問うものとなっている。

(朝鮮新報)

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