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市長の暴言

2013年05月15日 09:59 春・夏・秋・冬

春夏秋冬大阪市長の暴言が波紋を広げている。被害者たちの訴えを省みず、戦争という状況では「慰安婦制度は必要だった」と公然と述べた。歪んだ歴史観と人権意識の欠如。このレベルの人物が自治体の首長、政党代表を務めている事実にあらためて驚愕する。

▼「戦争集団には休息が必要」との理屈で慰安婦制度を肯定する市長の思考回路は、アジアの民衆を搾取と略奪、虐殺と対象とした「大日本帝国軍人」のそれと同じだ。国際社会の常識に反する差別と排他のイデオロギーは厳しい批判を免れない。

▼沖縄県を訪れた大阪市長が在日米軍に風俗業の活用を勧めたことについて、米国務省当局は「バカげている」と一蹴した。「人気を博したタレント市長」の意識は呆れるほど低く、不幸なことに本人はそれに気づいていない。

▼当然ながら、個人の資質問題として見過ごされてはならない。大阪では、彼の傲慢で稚拙な本性が教育行政で示され、朝鮮学校に対する制度的差別がいまも続いている。慰安婦問題に関する暴言と民族教育に対する敵対的態度は根が同じだということを広く世間に知らせるべきだろう。

▼後先を考えない市長の妄言は、おそらく「侵略の定義」に疑問を呈した首相の国会答弁がきっかけになっている。憲法改正で共同歩調をとる両者は、参院選後の連携を視野に入れているとの観測もある。歴史に学ぼうとしない差別主義者たちの暴走を許してはならない。(永)

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