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講演「歌でたどる朝鮮・韓国、日本の近現代史」

2013年05月08日 11:41 文化・歴史

名曲生まれた当時に思い馳せ

在日二世の朴燦鎬さんによる講演「歌でたどる朝鮮・韓国、日本の近現代史」が4月13日、東京・新宿の高麗博物館で行われた。

朝鮮、南、日本の歴代の名曲を紹介する朴燦鎬さん

朴さんは講演で、名曲「鳳仙花」など1910年~20年代に創作された当時を代表する名曲にはじまり、解放後から70年代までの代表的童謡、歌謡や、在日朝鮮人歌手関連の曲などを実際流しながら、それぞれの曲に込められたエピソードについて話した。

「鳳仙花」について近代歌謡の嚆矢だと話す朴さん。「民族の独立を願い、目指した人たちのために歌われた『鳳仙花』を聴くと、いったんしおれても次の代へと継いでいこうとする朝鮮民族の姿がしみじみと思い出させられる」と語った。

その他、最も多くの童謡を作曲した尹石重の「ウリエギ行進曲」(1929年発表)、朝鮮で一番初めに作られた童謡である「半月」(1924)、「木浦の涙」(1935)、1936年に行われたベルリン五輪に出場した朝鮮のマラソン選手である孫基禎(1位)、南昇龍(3位)さんを賛える歌「マラソン制覇歌」(1936)、韓国の民主化闘争期に創作された「朝露(アチムイスル、1971)」なども紹介された。

最後に参加者たちは、当日配布された資料にある「朴さんの愛唱歌」の欄から自らリクエストした名曲たちを聴き入り、思い出に浸った。

高麗博物館の樋口雄一館長はあいさつで、朴さんの講演を聞きながら、戦前までは朝鮮語を話し歌うことを日本でも、朝鮮でも禁止されていた不自由な時代を改めて思い出したと話した。また、日本では、「韓国・朝鮮人を殺せ」「毒飲め」といったヘイトスピーチ、安倍政権による憲法改悪など、戦前の国内体制が今一度つくられつつあると指摘。「植民地支配を反省するという意味では、政府がこういう企画や会を組織するべきだ」ときっぱり話した。

(尹梨奈)

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