第31回高麗野遊会/日朝の連帯の歌声高らかに
2013年05月15日 09:31 主要ニュース日朝友好第31回高麗野遊会が12日、埼玉県日高市の高麗神社で行われた。(主催=同実行委員会)。同胞、朝大生、日朝友好に取り組んでいる歴史愛好家など、約190人が集まった。
午前10時過ぎに西武線高麗駅前の広場に集まった参加者たちは、交流を深めるため朝・日の人々が入り混じってグループをつくり話に花を咲かせながら高麗神社まで散策した。高麗川沿いの巾着田をめぐり、聖天院を経て若光王が祀られる高麗神社に向かう道中では、初夏の日差しに輝く新緑が広がり、ウグイスの鳴き声や川のせせらぎなどが参加者たちの心をなごませた。
高麗神社に着いた一行は他の参加者と合流。高麗神社では、朝鮮大学校教育学部の金勇大助教が東日本大震災で東北朝鮮初中級学校が被災した際に同実行委員会が呼びかけて多額の義援金が寄せられたことに謝意を表しながら、震災の影響を受けた同学校の現状を写真を用いて報告した。
つづいて第60代宮司の高麗文康氏があいさつした。666年に高句麗から渡来した若光が高麗人1799人とともに当地の開拓に当たり、没後にその徳を偲び高麗神社が創建されたとし、高麗神社の歴史を説明した。宮司がユーモアを交えながら話すと、会場は笑いの渦に包まれた。
その後、高麗神社の駐車場では恒例の日朝交流焼肉パーティーが開かれ、参加者たちは焼肉に舌鼓を打ちつつ、楽しいひと時を過ごした。
日朝友好の証として北南、日本のお酒を混ぜて「統一焼酎」がつくられ、三多摩日朝女性の集いと総聯女性同盟のメンバーによる「アリラン」、「赤とんぼ」の合唱、3.31集会のために朝大生たちが作った歌「声よ集まれ!歌となれ」の合唱(朝大生)、はなこりあの舞踊「よさこいアリラン」が披露された。また、参加者たちが「未来」「心」というテーマでつくった川柳を川柳作家の「乱鬼龍」さんが発表した。その後行われた朝大セマチによるサムルノリの演奏後にはアンコールが湧き上がり、会場の雰囲気は最高潮に。「統一列車が走る」の歌に合わせ、参加者全員が輪を作った。
母の日のプレゼントとして高麗野遊会に母の厳福利さん(74)を誘った千美英さん(56)。「初めて参加するが、朝・日の多くの方々がともに楽しい時間を過ごしているのを見ることができて嬉しい。母も喜んでくれたようだ。次もぜひ参加したい」。
朝鮮新報の愛読者だと言う平野昌男(62)さんは、朝鮮に関する日本のメディアが流す誤った情報に対して「日本には真実を知らない人が多すぎる」としながら、「初めて参加するがこのような場で日朝の交流を深め、多くの日本の方々に正しい事実を知ってもらいたい」と語った。
初参加の伊藤雅志さん(22)は、東京・新宿の新大久保にある高麗博物館で見た歴史事実が日本の教科書で習うものとは正反対であったとしながら、ショックを覚え、同時に朝鮮の問題に対して興味を持つようになったと話す。「これまで朝鮮の方々と触れ合う機会がなかったので、今回の野遊会でいろいろな話ができてよかった」。
朝日・日朝大学生友好ネットワークで活動する朝大生の李章鉉さん(22)は、「30年以上続いている朝・日友好の場に参加して多くのことを学んだ。ネットワークでも月に一回、日本の大学生と集いを開いているが、歴史問題や情勢について話す機会も多いので、自分たちを取り巻く問題をしっかりと伝えられるようにに知識を深めたい。これからもこのような交流の場に積極的に参加したい」と語った。
実行委員会の古田武共同代表(66)は、「日朝の人々がどう共生していくかを考えなくてはならない。在日朝鮮人の立場になって歴史を認識し、理解することが重要だ。高麗野遊会をきっかけに日朝の連帯の輪がもっと大きくなってほしい」と語った。
高麗神社は2016年には高麗郡建郡1300年という大祭を迎える。
(李永徳)