「破廉恥で無神経、時代錯誤」、橋下市長の暴言、背景に排外主義潮流
2013年05月15日 14:03 主要ニュース 歴史「慰安婦制度は必要」。またも、旧日本軍性奴隷制をめぐって「強制性を示す証拠はない」と主張する橋下徹・大阪市長(日本維新の会共同代表)の暴言に、内外から糾弾の声があがっている。同市長は大阪府下の朝鮮学校への補助金打ち切りを断行した民族差別、排外主義者としても知られる。こうした一連の発言や行動の背景には、安倍政権のゆがんだ歴史認識と深刻な人権感覚の欠如がある。
「従軍慰安婦」という日本軍の性奴隷にされた女性たちの大半は、日本の植民地、占領地の10代の少女たちであり、その計画、推進、管理などを大日本帝国が行ったことは紛れもない歴史の真実である。殺され、病によって無念の死を遂げた被害者たちは数知れない。それは、人類史上無類の戦争犯罪、性暴力であり、国際法違反である。加害者は処罰もされず、大手を振って生き延びて、被害者は差別され、惨苦の60余年を生きてきた。そして、勇気を持って、証言台に立ったとき、またしても罵声を浴びた。体と心に深い傷を受けた被害女性たちを再び侮辱する加害国日本の政治家たちの時代錯誤の暴言を到底許すことはできない。
橋下市長はまた、今月初め沖縄を訪問した際に、米軍司令官に「もっと風俗業を活用して」などと勧めたという。まさに女性を性のハケ口にした大日本帝国軍人と同じ獣のような発想ではないか。悪名高い日本軍の性奴隷制は決して過去のことではなく、女性の人権を軽視する現在の問題をも晒しだしている。
かつて、日本帝国主義は朝鮮を植民地支配し、その民族的自主性を徹底的に蹂躙し、女性らを「従軍慰安婦」に、男たちを強制労働に駆り出した。しかし、敗戦後68年を経ても、日本政府は反省のかけらすら見せていない。それどころか、各界の指導層からは居直り強盗も赤面する破廉恥で無神経な言葉の暴力が吐き出されている。その土壌は何なのか。西ドイツのシュミット元首相の言葉を想起してみる。「日本は意識改革が必要だ。まず、第一に島国根性である。…もう一つの障害物は、近隣諸国民に比べて優越しているとの自惚れである。とくに、かつて日本に連れて来られた朝鮮の人々の子弟に対して一つ下の人間として扱っている」。
97年に死去した南の元「慰安婦」・姜徳景ハルモニは、遺言として「責任者を処罰せよ」と題した絵を描き残した。被害女性たちの多くは高齢で、次々と死を迎えている。日本政府に謝罪と補償をさせて、被害者たちの無念は今こそ晴らされなければならない。(粉)