〈本の紹介〉山花郁子著「アジア・子どもの本紀行」
2013年04月10日 15:54 文化・歴史子どもの本で平和を作ろう
80歳の児童文学者と18歳の孫娘とのはじめてのベトナム・カンボジアへの旅行記。名所をめぐりながら、子どもに読んでもらいたいアジア関係の本をブックガイドする。そして長年図書館員として働いてきた著者が、子どもと本をつなげるために行っている活動についても詳しく書かれている。
山花郁子さんは、公立図書館司書、公民館長、教育委員の経験の持ち主で、「わかれ道おもいで道」(岩波書店)、「12歳ぼくの行動計画」(小峰書店)、「おじいちゃんのめだまやき」(文研出版)などの著書を持つ児童文学家でもある。
本には、昨年8月、東京・青山で開催された「アジア児童文学大会」で「アジアの子どもの心をつなぐ『歌と語りのブックトーク』」についての発表内容も含まれている。
山花さんは、2010年、2011年の2回にわたり「南北コリアと日本のともだち展」の活動を通して平壌を訪れ、現地の子どもたちと触れ合った。本には、そのときの感動も、そのまま書き綴られている。
「続いてほしい、子どもの交流―再び訪れた朝鮮の地」のなかで、山花さんは、「生まれて初めて祖国の地に足を踏み入れた在日4世の子どもたちの背景に脈々と受け継がれた祖先の熱い思い」を感じ取り、「訪朝団の一員としてこの地を踏んだ私の心もまた躍ったのだ」と書いている。子どもの本で平和を作ろうという願い、子どもと本をつなぎたいという思いがぎっしりと詰まった一冊。
(朝鮮新報)