「無償化」除外を受け朝鮮学校関係者が記者会見
2013年02月20日 20:21 主要ニュース「解決するまでたたかう」
文部科学省が朝鮮高級学校を「高校無償化」制度から完全に除外することを決め、各朝鮮高級学校関係者に通達したことを受け、全国朝鮮高級学校校長会、全国朝鮮学校オモニ会連絡会、全国朝鮮高級学校学生連絡会、学校法人朝鮮学園の代表ら9人が20日、文科省の修学支援室関係者を訪ね抗議と要請を行った。関係者たちはその後、「朝鮮学校を支援する全国ネットワーク」の代表らと共に文科省内の会見場で記者会見に臨んだ。国内外のメディア各社が取材した。
「夢を潰さないで」
会見ではまず、全国朝鮮高級学校校長会、オモニ会連絡会、学生連絡会の会長、代表が連名で発表した談話を全国朝鮮高級学校校長会の慎吉雄会長(東京朝鮮中高級学校校長)が読み上げた。
談話は、今回の文科省による省令改正は、各種学校の認可を得た外国人学校の中で朝鮮学校だけを「高校無償化」制度から排除することを唯一の目的とした極めて差別的な措置だと糾弾した。
また、下村文科相が省令改正を発表した19日の記者会見で「朝鮮学校が日本の教育制度の下で学校教育を行う方向に転換すれば、すぐ無償化が適用される」と述べたことに対し、各都道府県の認可と監督下にある各種学校の資格をもつ朝鮮学校の民族教育そのものを否定するものだと断じた。
そして、安倍政権と文科省が、在日同胞の歴史的経緯や「高校無償化」制度の趣旨、日本国憲法と国際人権規約などにのっとり、不当な省令改正をただちに撤回し、朝鮮高級学校生徒への「無償化」を一日も早く実施することを強く要求すると主張した。
その後、関係者たちが発言した。
東京中高の李祥庸さん(高2)は、「僕たちにとってこの問題は、単なる支援金の問題ではない。日本社会がわれわれの存在を認めるかどうかの問題だと思っている。ぜひ一度朝鮮学校に足を運んで自分の目で現実をしっかりと見てほしい」と語った。
また白聖亜さん(高3)は、「私の夢は看護士になること。社会に貢献したいという思いでこれまで学んできたのに、私の夢を日本政府は潰さないでほしい。卒業してもこの問題が解決するまでたたかいたい」と話した。
白さんの担任の姜香熟教員は、「高級部3年生はいま、進路について悩んでいる。白さんのように看護士になりたいという生徒もいれば、キャビンアテンダント、サッカー選手、弁護士になりたいなど、みんな希望を持って自分の進路について考えている。私自身も教員として生徒たちが国際社会、日本社会に大きく貢献する人間に育つよう8年間勤めてきた。多くの日本の方が私たちのことを理解し、協力してほしい」と語った。
東京中高オモニ会の朴史鈴会長は、「私の周りには、朝鮮学校を『無償化』から除外することに反対し、在日同胞に温かく接してくれる日本市民が大勢いる。それなのにテレビ、新聞などでは、『北朝鮮』という言葉と朝鮮学校を並べ、生徒たちがあたかも悪い子のように報道されている。日本国内で私たちの声が届かないのであれば、国際社会に呼びかけていく決心だ。あきらめずにたたかっていきたい」と述べた。
文科省訪れ抗議
記者会見に先立ち、文科省を訪れた代表らは、制度の適用が一日も早く実現するよう、改めて要請した。
慎吉雄校長が安倍晋三首相と下村博文文科相に宛てた要請文を読み上げたあと、参加者が発言した。
神奈川朝鮮学園の禹載星理事長は、「いまでも怒りで体が震えている。『無償化』の問題から派生して神奈川県知事も先日、36年間支給し続けてきた朝鮮学校への補助金を今年度予算に計上しないとの決定を下した。朝鮮学校に潰れろといっているのと同じだ。大臣や知事の一言でこのように朝鮮学校の運命が左右されていいのか」と語った。
また慎校長は、「なぜこのような結果になったのか知りたい。いま日本社会でいじめの問題が話題となっているが、この3年間朝鮮学校の生徒たちを政治に利用して、いじめてきたのは他でもない文科省だ」と話した。
対応にあたった文科省修学支援室の担当者は、「決して(朝鮮学校の)生徒たちに非があるわけではない。要請の内容は必ず上へ伝えたい。これまで、こちら(政府側)の要求に協力をいただきながら、このような結果になって申し訳ないと思っている」と語った。
(李炯辰)