〈高校無償化〉朝鮮学校完全排除を狙った「改正案」、文科省が意見公募
2013年01月05日 16:00 主要ニュース 民族教育朝鮮学校に対する「高校無償化」制度適用が3年近く先送りされているなか、安倍新政権は、朝鮮学校への適用の根拠となる規定を省令から削除しようとしている。
こうしたなか文部科学省は、事実上、朝鮮学校完全排除を狙った「改正案」に対するパブリックコメント(意見公募手続)を募っている。総務省が運営する行政ポータルサイト「イーガブ」などを通じて関連資料を入手することができる。
公募は26日まで。「イーガブ」のフォームから送信するか、文部科学省初等中等教育局財務課高校修学支援室宛てに郵便、FAX、電子メールで意見を送ることができる。
保守政権による露骨な民族差別に対して、同胞や日本市民らが怒りの声を届けている。
詳細は下記の通り。
宛先
- 住所:〒100-8959 東京都千代田区霞ヶ関3-2-2
- 宛名:文部科学省初等中等教育局財務課高校修学支援室
- FAX番号:03-6734-3177
- 電子メールアドレス:shorei@mext.go.jp
様式
- 件名:パブリックコメントに対する意見
- 氏名
- 性別、年齢
- 職業(在学中の場合は「高校生」「大学生」など在学する学校段階を表記)
- 住所
- 電話番号
- 意見
※件名は「パブリックコメントに対する意見」とし、電子メールの場合は添付せず、メール本文に記入。複数の論点について意見する場合は、論点毎に別様として提出(1枚1意見、1メール1意見)。パブリックコメント制度についてはこちらを参照。
露骨な民族差別に怒り心頭
現行の「高校無償化」(公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給)に関する法律施行規則では、「(イ)大使館を通じて日本の高等学校の課程に相当する課程であることが確認できるもの(民族系外国人学校)、(ロ)国際的に実績のある学校評価団体の認証を受けていることが確認できるもの(インターナショナル・スクール)、(ハ)イ、ロのほか、文部科学大臣が定めるところにより、高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして、文部科学大臣が指定したもの」と定められている。
朝鮮学校は「ハ」の対象として扱われているが、今回の「改正案」は、「ハ」を削除する内容だ。これまで「ハ」に基づいて適用を受けた他の学校については、制度の対象とする経過措置を設けるとしている。
2010年11月、文部科学大臣決定では、「ハ」の対象の適用基準について、専修学校高等課程の設置基準をベースに、▼修業年限3年以上▼年間授業時数800時間以上▼教員数(生徒数81~200人)6人などと定められた。朝高10校が同30日までに制度適用を申請。すべて受理されたが、国家間の問題を口実に審査が中断したり、朝鮮学校を中傷する一部報道やデマによって審査が遅れたりしている。
民主党政権は、「外交上の配慮などにより判断すべきものではない」としていたが、適用に踏み切らなかった。
一方、自民党に政権が移り、新しく就任した下村文科相は、「朝鮮学校については、拉致問題に進展がないこと、朝鮮総聯と密接な関係にあり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいることなどから、現時点では国民の理解が得られない」などとし、朝鮮学校に適用しない方針をいち早く表明した。
これに対し、朝鮮学校の生徒、保護者、関係者のみならず、同胞や日本市民からも怒りの声が続出している。一部当事者や支援者の間では、訴訟の準備も行われている。
日朝友好、相互繁栄を目的に活動する日本市民らの全国組織である日朝協会は、下村文科相の「方針」について、「高校無償化」制度の理念に反するもので断固抗議するとし、朝鮮学校への即時適用を求めた。
労働運動の情報ネットワークである「レイバーネット日本」は、「朝鮮学校と拉致事件はまったく関係ない」「外交関係によって子どもの学習権が脅かされている」「法律を捻じ曲げてでも攻撃しようというのが現政権の意図なのか」と厳しく批判した。
南朝鮮メディアも、安倍政権のこうした動きが「対北強硬姿勢」「歴史わい曲」と連動していることに強い警戒感を示している。
(朝鮮新報)