大統領の援護射撃
2012年12月03日 12:32 春・夏・秋・冬南の大統領選挙は、事実上の与野党候補の一騎打ちとなり、両陣営の戦いは激しさを増している。一方、存在感を失った現職大統領は、選挙局面で「北の挑発」があり得ると根拠なき戯言を繰り返している。先日は、青瓦台で催された軍指揮官の昼食会で発言、南の人口の約半分は「(北のミサイルの)射程距離に住んでいる」と人々の不安を煽った
▼これに先立ち、南の軍当局は、人民軍の冬季訓練が「例年よりも強化されている」との報告を発表した。さらには「軍の消息筋」なる人物がメディアに対して「12月から来年1月の間」に「北が長距離ミサイルを発射する可能性が高い」との情報を流した。こうした世論操作が、選挙で誰を利するか明白だ
▼与党の朴槿恵候補は大統領選に臨むにあたって、失政続きであった現職大統領との「差別化」を図るとされた。対北政策でも従来の対決姿勢を改めるとの観測があった。ところが現職大統領は「北の脅威」を喧伝しながら、彼女のための援護射撃に余念がない
▼所詮、同じ穴のムジナということか。与党の選挙対策委も、朴槿恵候補を念頭に置き「維新独裁の復活」に警鐘を鳴らす労働新聞の論調を「北の選挙介入」だと非難する。それが野党候補に「親北」のレッテルを貼り、攻撃する口実となる。表看板を替えても、分断の構図を権力維持に利用する勢力の本性は変わらない。(永)