朝大生が歴史実習フィールドワーク、埼玉・本庄、栃木・足尾、長野・松本で
2012年11月28日 17:13 歴史未来を開く熱いメッセージ
朝大学生の歴史実習フィールドワークが11月15日~17日にかけて行われた。
関東大震災時に朝鮮人に対する虐殺が行われた埼玉県本庄市と植民地支配下における日本への強制連行および強制労働が行われた栃木県足尾市、長野県松本市の各地で2泊3日にわたり実施された今回の現地実習には学生と講師を含む180人余りが参加し、事前の調査や発表などで得た知識を検証するとともに、異国の地で無念の死を遂げた1世たちを追悼した。
いわゆる「尖閣諸島」や独島に関する領有権の問題や、従軍慰安婦に関する認識の問題など日本の歴史認識が国際的に鋭く問われている中で行われた今回の実習は、何時になく熱気を帯びた真摯な雰囲気の中で進められた。
事前学習と現地でのフィールドワークを通じて学生たちは植民地下における在日同胞の悲惨な状況と、貧困化と右傾化が同時進行し、社会的弱者への差別と攻撃が半ば公然化しつつある現在の日本社会の姿が少なからず重なる事を発見し、その危険性についての認識を共有した。
また今回は現地での講演に初めて日本人の講師を招き、市民レベルでの朝・日連帯の可能性と大切さについて考えを深めた。
講師を務めた写真家のしまくらまさし氏は自身の母親の体験談を基に20世紀初頭において「近代化」の名の下に虐げられた「弱者としての日本人」が強制労働に苦しむ朝鮮人を助けた事例を紹介しながら朝・日の未来についての展望と課題について熱く語った。
また二日目の講演では北海道で強制連行者の遺骨発掘作業を続ける蔡鴻哲氏が学生たちに1世の生きざまを受け継ぎ、未来を開いていく熱いメッセージを伝えた。
学生たちは約一カ月にわたる事前講習と現地での実習を通じて、これまでおぼろげに理解していた「植民地支配下における差別と被差別」の生々しくも悲痛な実態に触れ、討論を深める事によって在日朝鮮人3世、4世としての自覚と確かな歴史認識を獲得する重要な契機を得る事となった。
(慎栄根・朝鮮大学校教授)