ラブコメディー「キムさんは空を飛ぶ」、釜山国際映画祭で特別上映
2012年10月31日 17:48 主要ニュース 共和国熱く、楽しく、信頼に満ちた撮影現場
英国、ベルギーの監督、南のメディアに語る
朝鮮と英国、ベルギーが今年共同制作した映画「キムさんは空を飛ぶ」が第17回釜山国際映画祭で、特別上映され、南のメディアで話題となっている。
南でも正式上映を
ハンギョレ新聞電子版(10月11日)によれば、この映画を共同監督した英国のニコラス・ボナー監督は、「朝鮮のある炭鉱村の若い女性労働者が空中ブランコのスターになるという話。南でも正式封切りして上映されたらいいですね」と笑顔で語った。また、ベルギーのアニャ・ダールマンス監督は「この映画はおもしろい童話のような話なんです」と語った。
同映画は、去る7月中旬ボナー監督が南を訪問して直接、釜山映画祭側に上映を打診し、9月初め招請が決定された。映画祭側が朝鮮側のキム・グァンフン監督と俳優を招請しようと統一部とも協議したが、彼らの参加は認められなかった。
ボナー監督は、「映画は文化交流」といい「これまで北関連ドキュメンタリーを3編作った」と述べた。
二人の監督は、2002年平壌国際映画祭にそれぞれ作品が招請を受けた縁で初めて出会い、朝鮮で映画を作ってみようと意気投合した。
ボナー監督は以前、ドキュメンタリー映画をともに制作した朝鮮側関係者に会い、投資家と朝鮮側制作会社を決定。キム監督はその後、合流したという。初めて意気投合して以来6年ぶりに映画がクランクアップ。撮影期間は全48日ほどだが、編集などの作業に2年費やした。
同映画は朝鮮の炭鉱村の若い女性労働者キム・ヨンミが空中サーカス団員になるために努力する姿を軽妙に描いた。映画は全体的に明るい。主人公キム・ヨンミ(ハン・ジョンシム)と空中サーカス団員パク・チャンピル(パク・チュングク)のロマンスもコミカルに描写される。二人の主役は、実際に朝鮮で有名なプロのサーカス団員だという。ダールマンス監督が「朝鮮のジョージ・クルーニー」と賞賛する俳優リ・ヨンホも出演した。
ボナー監督は、「信じられないかも知れないが、映画を撮りながら朝鮮当局とは接触することがなかった。シナリオや撮影に対する干渉もなかった」と明らかにした。また、「朝鮮制作会社側から、もう少しロマンスを膨らませて、ハツラツとしてほしいなどシナリオによい助言をくれた」と話した。
朝鮮の「J・クルーニー」
一方、連合ニュース(10月10日)も、「北の人々のための娯楽映画を作りたかった」と題して両監督のインタビュー記事を載せた。
ボナー監督は、「現場撮影自体は特に大変でなかったが、脚本を書くのが難しかった。
童話のようなストーリーに強い女性を登場させて、ラブコメディー映画を作りたかった。しかし、朝鮮の観客がそうした映画を受け入れてくれるかどうか不安でもあった。幸い朝鮮で喜劇専門のシナリオ作家に出会い、リアリティーのあるラブコメディー作品を作ることができた」。これらに力が集中できたのは朝鮮の俳優の積極的な参加であったという。また、「すべての俳優がとても優れていた。とくに人民俳優のリ・ヨンホは私たちが朝鮮のジョージ・クルーニーだと呼ぶスター俳優だが、台本を見て気に入ったと言って、脇役なのに出演してくれた。私たち自身もそう自信があったわけではなかったから、彼の出演で勇気を得ることができた」と話した。
だが、主演の男女二人の俳優を見つけるのは簡単ではなかったと、ダールマンス監督は打ち明けた。「演技とサーカスを二つとも上手にできる俳優はそういないので…。結局、プロのサーカス団員をキャスティングした。二人の俳優は撮影の3~4カ月前から演技の訓練を受けた」と同監督。
映画撮影のため、朝鮮当局の干渉や台本への検閲はなかったのか尋ねると、「他国と合作映画を作るのと同様の困難さはあった。しかし、それは干渉とかそういう類のものではない。作業をしながらたくさん悩んだことはある。 朝鮮の観客向けの映画だからヨーロッパ人の見解を入れない方がベストだと思った。その一方で世界中の誰でも共感できる普遍的な映画にしたかった」と答えた両監督。「朝鮮で映画を撮る過程が楽しかった」と屈託なく話した。
「映画を撮る過程で、信頼と尊重、自信でいっぱいになった。彼らと文化的な差を克服して意思疎通を計ろうと努めたが、俳優たちがいつも前向きに熱心にやってくれて力をもらった。特にサーカスの場面はスタッフと俳優たちがとても集中していて、現場は熱かった。とても楽しい経験だった」とダールマンス監督は話す。朝鮮での試写会の反応は非常に良かったと監督は話した。
また、ボナー監督は、「9月24日、平壌映画祭で初めて公開したが反応が良かった。私が以前、ドキュメンタリーを撮ったサッカーチームを招いたが、大いに笑って拍手してくれた。今、平壌の通りにポスターがたくさん張り出されており、チケットを求めて並ぶ人々もいる」と笑顔で話した。
(金秀卿)