〈取材ノート〉長かった闘いに決着を
2012年10月06日 11:12 コラム9月11日、朝鮮学校への「高校無償化」制度適用を求める要請活動のため、文科省を訪れたオモニたちに同行した。
「朝鮮学校で自らのルーツについて学ぶ子どもたちがどうして『除外』されなければならないのか」「教育の機会均等の理念はどこにいったのか」。それぞれの思いをぶつけ必死に訴えかけるオモニたちの姿に、朝鮮学校が置かれた状況がますます苦しいものになっている現実を再認識させられた。
朝鮮に対する敵視政策のもと、日本政府は政治的な理由をもって朝鮮学校を「無償化」から除外した。これが、朝鮮学校への補助金カットなど、地方自治体による差別も助長した。朝鮮学校は今まさに、「無償化なし、補助金なし、寄付金控除もなし」の兵糧攻めを受けている。
「無償化」適用除外を是正するため、朝鮮学校側が国賠訴訟も辞さない構えであることに今も変わりはない。原告として自ら闘いに名乗りをあげた朝高生たちや弁護団は、引き続き準備を進めているという。
そんな中、今月2日、新たに入閣した田中眞紀子文科相が、朝鮮学校への「無償化」制度適用の可否について、「そろそろ判断する時期だ」と言及した。同氏は衆院文科委委員長だった2010年3月当時、東京中高を視察し、適用に前向きな姿勢を示していた。
「無償化」問題をめぐって、本当に長すぎる時間が経った。問題が決着し、朝高生たちが新たな権利を獲得する瞬間が来るのを、じっと見守りたい。(里)