留学同「マダン2012」 「共に前へ」、学生らが思いを共有
2012年09月24日 11:00 主要ニュース在日本朝鮮留学生同盟(留学同)の学生による夏の恒例行事「マダン2012~ウリ ハムケ アプロ!(共に前へ!)~」(8月12~14日、兵庫・ハチ高原)。今年は日本各地の同胞学生ら約150人が参加した。サブタイトルの「ウリ ハムケ アプロ!」には、昨年12月の「留学同大祝祭」で示された、先代の意志を継ぎ新たな全盛期を切り開こうとする学生たちの決意が込められている。さまざまなイベントを行い寝食を共にした参加者たちは、朝鮮人としての誇りと歴史的ルーツを追い求め、互いの絆を深め合った。
初日、学生たちは、班ごとに分かれてのオリエンテーリングと旗づくり、バーベキューを通じて交流と団結を深めた。全員初対面で緊張を隠せないでいる学生も、行事が進むにつれて少しずつ打ち解けていった。
夜には留学同九州が用意した学習会が行われた。「世界がもし100人の村だったら」を朝鮮半島に置き換え、その中で暮らす在日同胞社会にスポットを当て、在日朝鮮人の存在を改めて認識させる内容だった。
また、大阪の学生が出演した演劇では、思いがけず自分が在日朝鮮人だと知らされた主人公が、民族について思い悩む姿が描かれた。その後の班討論では、在日朝鮮人がとても貴重で特別な存在であり、日本での根強い差別や朝鮮バッシングの中でも堂々と朝鮮人を名乗り生きていくことが大切だといった発言もあった。
2日目は、京都府青商会の朴賢憲総務部長による講義が行われた。講師は、自らの体験などにもとづいて朝鮮人として生きることの必然性、留学同活動の重要性について熱く語った。
講義を聞いた留学同東京のある3年生は「朝鮮に対するバッシングなどが日に日にひどくなり、在日朝鮮人として暮らしていくことが難しくなっている今だからこそ、在日朝鮮人として生きていく必要がある。今ここで在日朝鮮人として生きている自分たちの存在を自分たちで否定して暮らすことは、バッシングする側の望むことであり、自分たちが今まで築き上げてきたことをすべて打ち消すことになってしまう」と感想を述べた。
その後のスポーツ大会では、人物探しや騎馬戦、棒取り、朝鮮相撲、縄跳びなどが行われた。夜の文化公演では、地方本部別に用意したサムルノリ、民謡アカペラ、アートパフォーマンス、農楽、テコンドーなど例年以上に多彩な演目が披露され、兵庫朝鮮歌舞団による公演と歌「統一列車走る」で雰囲気は最高潮に達した。最後は、参加者全員がテーマソング「アプロ」を歌い公演の幕が下ろされた。
最終日、学生たちは、留学同結成70周年を迎える3年後の「マダン」参加者たちに送るメッセージを「タイムカプセル」に込めた。
留学同大阪のある2年生は、「『朝鮮人』という言葉はあまり好きでなかったけれど、在日朝鮮人として生まれてきたからには、歴史や在日朝鮮人についてもっと勉強して考えなければならないと思った。みんなで力を合わせて何かをするということがとても楽しかった。これからも留学同活動を頑張りたい」と語った。
「マダン2012」実行委員長を務めた李英範さん(21、留学同東海)は「すっかり留学同の看板行事となったマダンだが、全国の在日朝鮮人学生が集まり、ともに楽しみ、学び、同じ時間を共有する場は、日本社会の現状を考えると非常に大切だ。これからもずっとこのような『マダン』が続いて、少しでも多くの在日朝鮮人学生に影響を与え続ける場であれば。今回、その伝統をつなぐ役割を担えてよかった」と述べた。
【留学同中央】