〈取材ノート〉100匹のカブトムシ
2012年08月03日 16:22 コラム懐中電灯を片手に深い森の中に足を踏み込む。淡い月明かり、羽音を立てて耳元をよぎる虫…。Tシャツの背中は、すでに汗でぐっしょりと濡れている。
狙うはカブトムシ、100匹だ――。
7月30日、埼玉朝鮮初中級学校で中部支部同胞たちの夜会が行われた。近年、この夜会を青商会が主催している。近隣の花火大会に合わせて行われているため、今年は月曜日の開催となったが、約250人の同胞たちでにぎわった。
ところで、なぜカブトムシかというと、夜会で子どもたちにプレゼントするためだ。数年来恒例化されている。
「子どもたちの喜ぶ顔が見たい」という純粋な思いから始まった、この企画。今年も夜会の準備を進める過程で、自然とプランに組み込まれた。
そして「捕獲作戦」実行日である。バナナや焼酎などを混ぜて作った餌を「これぞ!」と思われる木に塗り付け、カブトムシがおびき寄せられるまで、一時休憩。すでに午後9時過ぎ。ラーメン店で夕食を取り、再度、森へ。その後、違うスポットにも移動するなど、一団が解散したのは午前3時頃だった。夏とは思えないほどに気温が低かったためか、予想外に捕獲数が伸びず、翌週も「作戦」は続けられた。
中部青商会のこんな地道な活動に共感した友人知人たちの協力もあり、夜会当日までに、見事100匹が虫かごの中に収まった。
カブトムシをもらい喜ぶ子どもたち。一人ひとりの小さな笑顔が、疲れを吹き飛ばしてくれた。(茂)