〈本の紹介〉「東北」は架空の場所?
2012年04月20日 14:38 文化・歴史「まん中」の呪縛を解く
昨年の3.11以降、「東北」は世界中の注目を集めた。それは言葉では語り尽くせない、甚大な大地震であり、大津波であり、放射能汚染であり…。

「こども東北学」1,200円+税/山内明美著/イースト・プレス/TEL03-5213-4700
宮城県出身の著者は、巻頭で被災地の子どもたちに、こう語りかけている。
「いま、きみの目の前には、先の見えない地獄が広がっている。この闇がりの荒野を、生きる風景に変えてゆけるのは、絶望に足枷せられた大人ではない。この風景を、希望に変えてゆけるのは、きみたちしかいない」と。
本書には、著者の家族史をも含む「東北」の歴史と、そもそも「東北」とは何か? 「東北」があるのなら、「まん中」とは何か? との問いに真摯に向き合う姿勢が込められている。そして、「東北」をキーワードに、世界中に偏在する「まん中ではないところ」――例えば、北海道やアイヌ民族、沖縄・琉球、小笠原諸島、植民地、差別や飢饉、貧困、子ども、若者、女性、老人、障がい者などについても考え、社会がどんな仕組みで作られ、動いているのかを、子どもや若者たちにもわかりやすい言葉で語りかけている。
また、原発事故によって汚染されてしまった土地や水、食物の連鎖についても触れ、100年後の「東北」で暮らす人々を想像しながら、新しい世界を思い描いていく。(潤)