〈取材ノート〉普天間とディエゴ・ガルシア
2012年03月31日 11:21 コラムイタリアの監督が制作したドキュメンタリー映画「誰も知らない基地のこと」の試写会に行った。
舞台はイタリアのビチェンツァ、インド洋に浮かぶディエゴ・ガルシア、そして沖縄県の普天間。2007年にイタリアで起こった基地拡大への反対運動をきっかけに、二人の監督は取材へと乗り出した。
作品では、第二次世界大戦以降の米国の「基地帝国」の拡大と、その裏にある陰謀が解き明かされていく。
09年、バラク・オバマ大統領が就任し、世界中の期待を集めた。しかし、それから約1年後、新政権の軍事予算は6,800億ドルと発表された。世界に広がる米軍の数は約40ヵ国、700箇所以上。140万人以上の米軍が世界に駐留しているという。
米国はなぜ基地を増やさなければならなかったのか。その飽くなき帝国の野望が赤裸々に描かれている。
ディエゴ・ガルシアでは、米国の基地を作るからという一方的な理由で2,000人の島民が強制移住された。島民は、故郷への帰還と補償を訴えているが、いまだ実現はされていない。人の命、生活を圧迫する米軍基地の存在がクローズアップされていく? まさしくその理不尽さは、南朝鮮を60年以上軍事占領し続ける米軍の姿そのものであり、そのおぞましさに身震いした。
しかし、どんな差別を強いられても、たたかいをやめない当事者がいる。制作に立ち上がった監督たちがいる。帝国主義の「植民地化」をこれ以上、許してはいけない。(梨)