〈取材ノート〉ペンを銃に変えても
2012年03月22日 10:17 コラム平壌である大学生に会った。除隊軍人である彼は将来、外交の世界で働くことを夢見ながら、平壌外国語大学で学ぶ。でも再び「銃を握る」道を選んだという。
朝鮮は今、怒りのるつぼにある。「最高尊厳」を冒とくされた民心は沸点に達した。朝鮮人民軍最高司令部スポークスマン声明(2日)によって、南朝鮮軍部がまたも「最高尊厳」を冒とくしたことが知れ渡り、軍への入隊、復隊のための嘆願書にサインする学生たちが相次いでいる。
彼もその一人だ。「絶対に許せない」。心情を語るその声は、怒りに震えていた。
1994年、金日成主席が逝去した直後、首脳会談まで決まっていた当時の南の執権者は、弔意を表すどころか全軍に非常警戒令を発動、準戦時体制を敷いて、北を挑発した。2011年末、南からの弔意は、またしてもソウルの対決政策によって遮断された。そして朝鮮民族の礼節として、喪に服する100日すら過ぎていない中で発覚した、過去に例のない、ましてや政権中枢の指示よる軍部での蛮行だ。
彼は94年当時も、幼心に煮えたぎる思いだったと話しながら、「今回はそれ以上だ」と声を荒げた。
朝鮮の人たちは誰も戦争を望んでいない。しかし「守るべきもの」を守るために、銃を取ることをいとわない。
「私たちは戦争を知らない新しい世代だ。もう一度机の前に座りたい。でも今は銃を取る」。朝鮮の民心だ。(茂)