〈続・朝鮮史を駆け抜けた女性たち 24〉女性宮廷画家/洪天起
2011年01月14日 00:00 文化・歴史「常識」を超えた活躍
「絶世の美女」
15世紀の野譚集「慵齋叢話」(成俔〈1439~1504〉著)には、女性宮廷画家洪天起についての記録がある。
「絵師洪天起は女性である。容貌の美しさでは一時彼女に敵う者はなかった。ちょうどある事件で司憲部に出頭し裁判を受けることになった。達城(号)徐巨正が(まだ)若い頃で、同輩たちと共に弓を射たり、集まり酒を飲んだりして、やはり捕まっていた。徐巨正が洪天起の傍らに座り、(彼女に)目をやると、一瞬たりとも目を離すことができなかった。その時、相公南智が大司憲であった。(彼が)すぐに言った。『儒生に何の罪があろう。すぐに釈放せよ』解かれた徐巨正は同輩たちに言った。『公務の処理がなんとお手軽なのだ? 当然犯人の言質を取り、また告訴状を受け、正否を明らかにするために丁寧に事を運ぶべきなのに、なぜこんなにお粗末なのだ』ただ、彼女の側に長くいられなかったことを悔しがってのことだった。同輩たちはこれを聞いてからかい、笑った」(畫史洪天起女子。顏色一時無雙。適以事詣憲府推鞠。徐達城少時隨羣少射的聚飮。亦被拿去。達城坐洪女傍。屬目不暫轉。時南相公智爲大憲。乃曰。儒生何有罪。其速放之。達城出謂儕輩曰。是何公事之μ遽乎。公事當訊犯人之言。又受考辭。分辨曲直。當徐徐爲之。何勿遽如是。蓋恨不久在洪女之側也。儕輩聞之齒冷)
洪天起(生年没日不詳、15世紀?)は従七品の位にあり、絶世の美女だと記録されている。山水画に秀で、崔渚や安貴生らと共に圖畫(図画)署で働いたという。