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個への配慮、またウリハッキョへ/保健室開設への取り組み

視力検査のようす

現在、山口初中へ子どもを送る保護者たちのなかには、今年保健室が開設されたことで、ウリハッキョへ送ることを決めた家族もいる。

「子どもに何か問題があったとき、先生と保護者という枠組みでしか話し合いや解決の手段がなかったのが、保健室ができることで、子どもたち一人ひとりが抱える特性に目を向けることが可能になったと思う」と、その存在意義について語るある保護者のオモニ。

息子の進路に悩み、初級部卒業後、一時的に日本学校へ通わせたが、今年6月、保健室が出来たことをきっかけに、また同校へ送るようになった。

「ウリハッキョへもちろん行かせたいけど、学校の保健福祉への不安もあったし、(そのむずかしさは)目に見えてわかるようなものじゃない。進路を悩み泣く泣く日本学校を選択したが、こうして保健室ができたことでウリハッキョに戻ってこれた」

また、2人の子どもを同校へ送る姜潤華さん(35)は、「一人ひとりの特性に合わせた教育が大事だ」と集団から個へ目を向けることの大切さについて語った。育児のかたわら、スクールカウンセラーとして日本学校に訪問することも少なくないという姜さん。

取材当日には視力検査が行われ、健康チェックに余念がなかった。

今回の保健室開設の取り組みについて「保護者たちの大半は共働きや単親の家庭。健康面で十分に目が行き届かないことも十分にある。そんなとき、親・教員以外の誰かが目をかけてくれる場所ができただけでありがたいし安心できる」と胸のうちを語った。

同校ではこれまで、保健室のみならず、通学路のスクールゾーン表示の実施(3ヵ所中2ヵ所が既に実現している)に向け自治体への働きかけを行うなど、教員や保護者、関係者や日本人支援者たちの地道な取り組みによって、子どもたちを伸び伸びと育てるための教育環境が整備されてきた。

山口ハッキョを支援する日本人支援者のなかで、中心的な役割を担う内岡貞雄さんは、「今はまだ仲間が多くない。だからこそ、問題の本質を捉えたうえで朝鮮学校に向き合う仲間を今後もっと増やしていかねばならない」と語った。

立ち上げ当初から携わってきた総聯山口県本部の金静媛国際部長はいう。

「保健室の最も大きな意義は、苦渋の選択で、日本学校に行った生徒が再びハッキョに戻り、民族教育を受けることができる環境整備が整ったこと。気持ちさえあればできるんです」

山口における民族教育を守り発展させる取り組み。それはいま、自治体による差別を跳ねのけ、同胞、日本市民ら多様な人々を巻き込み一段と勢いを増して、進められている。

(韓賢珠)

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