授業を通じた交流も/日朝教育シンポ・日朝教育交流のつどい
2017年02月17日 11:47 民族教育「第18回日朝教育シンポジウムおよび第43次日朝教育交流のつどい」(11日、東京中高)に参加した日本側の教育関係者らは「生徒たちが元気よくあいさつをしてくれる」「学校の雰囲気がおだやか」などと口々に話していた。
この日、日朝教育交流の70年をテーマとしたシンポをはじめ、数多くの催しが行われた。とりわけ、日本学校の教員15人が教壇に立って行った授業の数々は貴重な交流の場となった。生徒たちは日本学校の教員が行う授業に興味津々な様子で聞き入っていた。
社会の授業「東京大空襲と朝鮮人」を通じて、当時多くの朝鮮人も犠牲となった事実を初めて知ったという生徒(中2)は「日本の先生から私たちの歴史の一部分を教わったことがなんだか不思議だった。とても貴重な経験になったと思う」と話した。
県立校の教員を務める中川健太さん(33)は、高級部2年の英語の授業を担当した。初めて朝鮮学校で授業を行った感想について、「自分の意見をしっかりと持っている生徒が多いように感じた。好奇心も旺盛で、授業をしながらこちらも楽しかった」と述べた。
関西出身の中川さん。地元には多くの在日朝鮮人が暮らしていて、その存在は身近なものだったという。かつて学校の道徳の授業で在日朝鮮人差別の問題について習ったことや、クラスメートであった在日の生徒とふれあった経験が、自身の価値観形成に大きな影響を及ぼしたという。中川さんは「今の公教育の中では(在日朝鮮人の歴史的経緯に関する)歴史を教える場面がほとんどないが、これは本当に問題だ。知っているのと知らないのとでは全く違う。それほど教育が大事だということだ」と話していた。
この日はるばる沖縄からやってきた安次富利恵さん(43、県立校教員)は、初めて訪れた朝鮮学校について、「授業が朝鮮語で行われている点からしてとても興味深かった。子どもたちは身だしなみもきちんと整っていて真面目そうだなという印象」と語っていた。安次富さんは「朝鮮学校の歴史的背景や差別の問題については新聞報道などを通じて少しは知っていた。『辺境』である沖縄は、同じ日本にありながらも米軍基地を押し付けられるなど明らかな差別を受けているが、朝鮮学校差別も決して他人事ではないと感じた」としながら、実際に朝鮮学校に来て感じたことを同僚や県の教職員組合のメンバーなどに知らせていきたいと話した。
訪朝経験もある大野尚志さん(60、都立校教員)は、日本社会の中で朝鮮学校に対する正しい理解を持った仲間を少しずつ増やしていくことが重要であるとしながら、「特に30~40代の若い教員たちの中に、新しい仲間を増やしていきたい」と語っていた。
(金里映)