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〈本の紹介〉知ってますか、朝鮮学校 / 朴三石著

2012年09月05日 13:23 文化・歴史

朝鮮大学校の教授でもある著者の思いがタイトルに込められた。最近、朝鮮学校に対する関心が日本市民の中で高まりつつあることを実感しているという著者は、偏見とわい曲が溢れる情報社会の中で、物事を正しく判断するためにも正確な事実を「知ること」が何より大事だと強調する。

岩波ブックレット。定価500円+税。03-5210-4000

本書は、1. 事実を知ることの大切さ、2. 朝鮮学校で学ぶ生徒たち、3. なぜ日本に朝鮮学校があるの、4. どのような教科書を使っているのか、5. 朝鮮学校と日本社会というタイトルでまとめられている。朝鮮学校について興味があるものの知識がない、実際に行ったことがないという人たちのために、様々な角度からみた朝鮮学校が紹介されている。

第1章では、著者が「朝鮮学校と日本社会」というテーマで行った講義に対する関東地域にある大学生たちのレポートが紹介されている。

講義を受ける前には、「朝鮮学校は反日教育をしている」と思っていたという学生が大半だったのに、講義のあとには、「朝鮮学校がなぜ日本にあるのか知らなかった」「朝鮮学校がどういう学校かわかった」「良いイメージを持っていなかったが考えが変わった」などという意見が多数を占めていた。さらに、「朝鮮学校を『無償化』の対象にすべき」と、ほとんどの生徒が話していたという。

朝鮮学校のカリキュラムに「反日教育」という項目は存在しない。またそのような内容を扱った教材や科目もない。それどころか、近隣の日本市民や地域の自治体との密な交流を重ねながら地域に根づいた学校として存在している。著者は、このブックレットを手に取ることで「在日朝鮮人、朝鮮学校にたいする正しい知識を持った上で、具体的にどのような働きかけが可能かを考えていただければ」と願ってやまない。

(朝鮮新報)

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