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〈それぞれの四季〉糧/宋和淑

「理不尽な社会への怒りや自身の問題意識が研究を進める上での糧になる」。私にとっての「糧」とは何だろう。 私は自身の「民族性」を労なくして得られる環境にいた。恥ずかしながら、民族教育という選択を諦めなけ…

〈それぞれの四季〉もどかしい想い/宋和淑

「何が、カン・タダマサだ」 朝鮮の苗字に日本名を名乗る人に対して言い放たれた言葉をふとした瞬間思い出す。 (「朝鮮性+日本名」ってそんなに悪いことなの?)まだ幼かった私はその言葉に疑問と違和感を拭えな…

〈それぞれの四季〉下駄を脱ぐこと/宋和淑

4、5年ほど前、ある授業で国際機関に従事する日本人職員の方がゲストスピーカーとして話してくださった。質疑応答時に「日本には朝鮮学校という民族学校があり高校無償化制度から朝鮮学校だけが除外されています。…

〈それぞれの四季〉「朝鮮籍」と臨時パスポート/朴美順

「朝鮮籍」のため故郷に行けなかったハルモニ。いつも白いチョゴリを着てコムシンを履き、銀色のピニョで髪を纏めていた。日本語を話すのを聞いたことがなかった。 私もいつの間にか還暦を過ぎ、故郷の親戚にも会っ…

〈それぞれの四季〉「還暦過ぎて思春期」/朴美順

還暦を過ぎ留学同の後輩女子たちと40年ぶりに再会した。過去にタイムスリップしたように皆そのままの姿だった。子育てを終え、義父母を送り、夫をフォローしてきた彼女たちとの友情が再開した瞬間だった。不思議な…

〈それぞれの四季〉「使命」/李京柱

大阪朝高ラグビー部の長く熱いシーズンが終わった。コーチとして傍で見ていた私だったが、ふと思った。なぜこんなにも胸を打たれるのか。 この情勢下におけるチーム作りは、どのスポーツ、どの地域においても、困難…

〈それぞれの四季〉私を形づくるもの/崔泰順

私のすべては朝鮮学校でできている。 初めは両親が選択し、物心ついてからは自らが選択した朝鮮学校出身者としての道。 世代と共にそれぞれの価値観や真理も変わるなかで時には揺らぐこともあるが、ウリハッキョで…

〈それぞれの四季〉韻文について②/李京柱

詩の授業は難しい。高級部の教科書には多くの詩が収められているが、しっかり教えられているのか正直実感が湧かない。今回は吉野弘さんの「I was born」を教えた。 「ほっそりした母の 胸の方まで 息苦…