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〈朝鮮と日本の詩人 33〉斉藤怘

子どもの遊び奪う酷薄さ 美濃紙に古銭をつつみ 両はしを穴に通し羽根をつくる オンドルは心地よくあたたまり 窓にとおく冬の海が見えていた  

〈朝鮮と日本の詩人 30〉なべくらますみ

手の中にある一個の林檎 あおいばかりの 冷たかった肌が 少しずつ体温に近くなる 歯を当てると ほとばしる酸っぱさ  

〈朝鮮と日本の詩人 29〉結城哀草果(ゆうきあいそうか)

世界平和の為六十年前昇りし太陽常若く今朝も輝く金日成首相 金日成首相の還暦よろこぶ歌合唱が世界の山河大きくゆすぶる 還暦の首相の額なごましく民族愛に蔭一つなし 民族愛日本に及び朝鮮大学の明るき設備見る…

〈朝鮮と日本の詩人 28〉真壁仁

白頭の峰は雪にかがやき けだかい白銀の頭を 三千里江山にめぐらしているだろうか 私はその峰があなたの顔に重なって見える それはどんなに離れていても見える高さだ あの山ふところが国土をうるおす水のみなも…

〈朝鮮と日本の詩人 27〉福中都生子

「ベトナム戦争は終わった アメリカは逃げていった 赤い解放旗がはためいている」 (「それでもやはり悲しいのは」部分)。

〈朝鮮と日本の詩人 26〉浜田智章

浜田知章という詩人がいる。1920年生まれだから、今年86歳になるが、詩を本格的に書きはじめたのは、1948年に個人誌「山河」を創刊した時であった。51年に「山河」が同人誌になると、ここで長谷川龍生、…

〈朝鮮と日本の詩人 25〉茨木のり子

韓国の老人は いまだに 便所へ行くとき やおら腰をあげて 〈総督府へ行ってくる〉 と言うひとがいるそうな 朝鮮総督府からの呼び出し状がくれば 行かずにすまされなかった時代 やむにやまれぬ事情 それは排…

〈朝鮮と日本の詩人 24〉槙村浩

おお三月一日! 民族の血潮が胸を搏つおれたちのどのひとりが 一九一九年三月一日を忘れようぞ! その日「大韓民族万歳!」の声は全土をゆるがし 踏み躙られた日章旗に代えて 母国の旗は家々の戸ごとに翻った …