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〈朝鮮と日本の詩人 74〉井之川巨

美しい叙情的抵抗詩 舞い、舞う 朝鮮の少女たちは 回転する五月の花壇だ。 ひとりの少女は 銃殺された農夫を舞い、 ひとりの少女は たたずみ悲しむ妻を舞い、 ひとりの少女は 廃墟をさまよう子供を舞い、 …

〈朝鮮と日本の詩人 71〉古川健一郎

朝・中民族離間策への怒り 四十万の山東移民は、韮臭い息をして 俺いらの水田を荒し廻る、支那の泥犬だ。 支那官憲は、地主と共謀になり 俺いらの肉を啄む、広野の老鴉だ。 ああ 金川県の馬賊の奴まで 俺いら…

〈朝鮮と日本の詩人 70〉倉橋顕吉

わびしいアリランの調べ 怒っているのだろうか、 なだめて 居るのだろうか、「朝日」をくわえた男の 目が鋭い。 朝鮮の少女はじっと うつむいて 泣きだしそうな顔を こらえ、 扇子の紐をまいたり ほどいた…

〈朝鮮と日本の詩人 69〉植村諦

「誰が俺の目を曇らすのか」 誰が俺の目を曇らそうとするのか 誰が俺の耳を覆おうとするのか 俺は何も彼も良く知っているのだ 此のアジアの突端に日毎に行われている 不正を、不義を、偽瞞を、圧殺を- そして…

〈朝鮮と日本の詩人 68〉菊岡久利

朝鮮の火を燃やす仲間 (冒頭から33行省略) わたしの知っている朝鮮の仲間たちは 平気な顔つきでいて 皆それぞれ 胸には朝鮮の火を燃やしている 屑屋をしている仲間も 鉄道敷設に沿って進む仲間も 皆 あ…

〈朝鮮と日本の詩人 67〉川田順

新羅の人々慈しむ心情吐露 栲綱の新羅の王のおくつきは鳥けだものら四方八面に立つ 遠き世の新羅の王のおくつきを今日の夕日のしずかに照らせる 多宝塔のほそき欄干をなよびかに月の光し流れたりけり 国は亡くし…

〈朝鮮と日本の詩人 66〉階戸義雄

不屈の革命精神うたう 京城監獄に石棺そっくりの地下暗房があるという 一人の政治犯が終身禁固になっているという 盲聾唖の三重苦だという だが生まれながらの廃人ではないという かつては独立運動の首領 被圧…

〈朝鮮と日本の詩人 65〉仁科理

もっと自由で、もっと激しい怒り (冒頭から29行略) たとえば一九二三年九月一日の悲しみが 埼玉県児玉郡上里村という寒村で、一九五二年のある日、 「関東大震災朝鮮人犠牲者慰霊祭」という一つの塔になった…