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〈朝鮮と日本の詩人 84〉島梯二

「柳よ なびけ この道に」 ガチンと つるはしがはねかえる 石ころだ ガチンと つるはしがはねかえる コンクリートのかけらだ   この道に ぼくらはいま柳をうえるこの道は潮のにおいがする 新…

〈朝鮮と日本の詩人 81〉片羽登呂平

細菌戦の残虐非道暴く かぶと虫や。 蜘蛛や。 蚊や。 蚤や。 虱や。 蒼蝿や。 南京虫や。 赤痢菌や。 ペスト桿菌や。 コレラ螺旋菌や。 発疹チフス病原体や。 李承晩氏や。 ヴァンフリート氏や。 マー…

〈朝鮮と日本の詩人 80〉辻征夫

「私いけない国の人間だ」 駅はどこでしょう 市内地図をくださいな わたしはこれからどうしよう 海雲台の堤防で 途方にくれていたわたくしに 海はきれいですか さしみたべますか ずいぶん遠くからきましたか…

〈朝鮮と日本の詩人 79〉森井香依

「君よ、帰れ。故郷に」 親しい友人たちと 百済料理店で 不老長寿のあずき粥を食べた帰り ほろ酔い気分で 明洞の路地を歩いていた  

〈朝鮮と日本の詩人 78〉野口清子

パパは行った 戦いへ ぼかぁ知らない 朝鮮戦争がどんな色をしていたか ナパーム弾や細菌爆弾で 朝鮮半島が凸凹になり かいせん病のようにただれ なでしこやくるまゆりは小さくふるえ 小鳥たちは逃げ場を失い…

〈朝鮮と日本の詩人 77〉三石勝五郎

「血を流した夕焼けの空」 朝鮮は石の国 あの冷たい空を突いて ほそぼそとポプラの木は育つ.   赤い線の丘と 坊主山、私がいた港には いつも夕陽がやせ落ちた   国にほろびても海の…

〈朝鮮と日本の詩人 76〉高群逸枝

天は虐政の霧に覆われ (冒頭から4連19行省略) 下関行の三等列車。午睡時の車輪の轟。   窓はぴかぴかする。群集は各々の目で血眼になっている。 李王家無二の忠臣朴時奎。 彼の愛子は朴尚鎭。…

〈朝鮮と日本の詩人 75〉近藤芳美

迎春花かぎりなく咲く野 国染めてくれない色の朝明けのひろがらむはて大地は凍れ 凛々と大地のかぎり凍る冬聞ゆるごとし国の歓喜は 清冽に祖国と呼ばれむ世界あれ凍る大地の朝のかがやきに 地も河も厳しく凍る冬…