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短編小説「伜は前線でたたかっている」23/李相鉉

申貞三はみんなに拳銃をふりかざしながら、山の斜面に穴を掘れと命じた。 「はよう掘らんか!」 申貞三は大声でどなりながら空に向けて拳銃をぶっ放した。 そのとき、うしろ手にくくられた萬基爺さんが「治安隊」…

短編小説「伜は前線でたたかっている」20/李相鉉

遠くのほうで、誰か不要心に氷を踏みつける音がした。爺さんはどきっとした。 彼は米俵の積んである近くに来ると、立ち止まってあたりをうかがった。

短編小説「伜は前線でたたかっている」19/李相鉉

爺さんは許振風のあとからついていった。 コプニが息せききって村の方へ走っていくのが見えた。

短編小説「伜は前線でたたかっている」18/李相鉉

「米はどうした?」 「あのう…」 「何だって?」 「見つけました」

短編小説「伜は前線でたたかっている」17/李相鉉

爺さんはひと晩でことばつきまで変わった許振風の顔をちらと見上げると、真直ぐにハンズン広場の方へ上がっていった。そこの「七星岩」の下に埋めた15俵ほどの米俵の所在を確かめるためであった。案の定、掘り返し…

短編小説「伜は前線でたたかっている」16/李相鉉

爺さんは黙っていた。ただコプニのひたむきな心だけがひしひしと身にしみてうれしかった。

短編小説「伜は前線でたたかっている」15/李相鉉

年ごろにして自分の嫁ほどでもあろうか、引きずられていく女の後姿を眺めながら、爺さんは身震いをおさえることができなかった。彼は、こんどの任務をうまくやりとげることこそ、この獣どもにたいするしかえしである…