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〈歴史×状況×言葉 19〉金史良(中)/パルチザンとして最後まで戦闘か

前回の記事が本紙に掲載された後、ある読者から金史良の経歴について次のような情報提供をいただいた。提供者は3年ほど前に朝鮮を訪問した際、2000年の6.15共同宣言以後に作成された人民軍関係の資料を目に…

〈歴史×状況×言葉 16〉村上春樹(中)/夢や理想めざす当事者意識は?

前回の記事((上)、6月1日付)が掲載されて数日後のタイミングで、6月9日、村上春樹氏はスペインのカタルーニャ国際賞を受賞した。授賞理由は「その作品が世界の文学界の規範となり、東洋と西洋の架け橋を築い…

〈歴史×状況×言葉 15〉村上春樹(上)/政治嫌悪と自己愛で紡ぐ「物語」

前回からしばらく間が開いたので、連載再開にあたり閑話休題、というわけでもないが、少し趣向を変え今回は現代作家を取り上げようと思う。2009年、村上春樹が発表し爆発的なセールスで社会現象となった「1Q8…

〈歴史×状況×言葉 14〉湯浅克衛(下)/「8.15」を糊塗する郷愁の欺瞞

日本の敗戦後、湯浅が最初に書いた短編「旗」(1946)では、朝鮮民衆が「独立万歳」に沸くなか、主人公は「(日本が)負けたことを一度は悲しんで、それからお祝ひとは行かないかな。さう行けば理想的なんだがな…

〈歴史×状況×言葉 13〉湯浅克衛(上)/美化される朝鮮の記憶

前回まで中島敦のことを書いたが、中島と京城中学校で同級だった湯浅克衛(1910~1982)がいる。もはや今日ではほとんど知られていないが、生涯朝鮮を書き続けた数少ない日本の作家である。中島と同じく植民…

〈歴史×状況×言葉 12〉中島敦(下)/自己を揺るがした朝鮮体験

中島敦の「巡査の居る風景―一九二三年の一つのスケッチ―」は、日本の支配権力の下で巡査として働く主人公趙教英の民族的葛藤を、同化と差別、親日と反日が入り混じる植民地下ソウルの複雑な現実とともに描いた。弱…

〈歴史×状況×言葉 11〉中島敦(中)/被支配者からのまなざし

中島敦に関し原稿の続きを構想していたさなかの12月5日、昭和天皇に有罪判決を下した唯一の民衆法廷である「女性国際戦犯法廷」から10周年の国際シンポジウムが東京外国語大学にて行われた。アジア各地からの旧…

〈歴史×状況×言葉 10〉中島敦(上)/「臆病な自尊心、尊大な羞恥心」

中島敦(1909~1942)と言えば、日本の教科書に広く採用されてきた「山月記」がおそらく最も人気の高い作品であろう。朝鮮学校でも高級部3年生の日本語教科書に収録されている。唐代、詩人としての出世を果…