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短編小説「春の農村にやってきた青年」20/千世鳳

「収入ですって? 収入が多いか少ないかってことなんか、そう気にしていませんよ。この組合の去年の分配実績を見ると、相当の分配をしてましたが、機械工場に劣るようなことはないでしょうよ」 「でも、技術者は、…

短編小説「春の農村にやってきた青年」17/千世鳳

その夜、二人は、隣の精米所から電線を引っぱってきた。そして、モーターに電線をつなぎ、ふいごと炉の間に羽根車のついたパイプを埋めた。彼女はとても気がきくので、キルスがいちいち言わないうちに、さっさと仕事…

短編小説「春の農村にやってきた青年」16/千世鳳

「ふーん、相当なもんだ」 「なにが相当なの? トラクターの運転でもしたんなら別だけど……」 「調節手だっていいじゃないか。ぼくなんか、まだ、それさえやってみたことがないんだ」 「あんまり、からかわない…

短編小説「春の農村にやってきた青年」15/千世鳳

「ええ……」 彼女はまだ胸がドキドキしていたが、笑顔でこう答えた。二人は仕事場に入っていった。 「何を作るの?」 「鍛冶屋の仕事を機械化しなきゃならないんでね」 「どうやって機械化するの?」

〈聴くシンボ〉(11月22日-11月28日)

「聴くシンボ」は、朝鮮新報電子版 DIGITAL SINBOのニュースを音声でお聞きいただけます。同サービスでは、1週間の主要ニュースをピックアップし、毎週日曜日にダイジェストでお届けします。生活のさ…

〈同胞飲食店応援キャンペーン・埼玉〉そば処はやし

荒川のライン下りなどといった観光地で有名な、秩父鉄道秩父線「長瀞駅」から徒歩3分ほどにあるそば処「はやし」。 2023年で創業60年の「はやし」は、多くの観光客が立ち寄る名所としても有名で、多くのタレ…

短編小説「春の農村にやってきた青年」14/千世鳳

おやじは、また、たいへんな心配ごとがもうひとつ増えた。チベギの話を聞いてから、鍛冶屋を乗っ取られることを心配していたのだが、今度は自分の娘をとられはしないか、という心配までが加わったのである。 その夜…

短編小説「春の農村にやってきた青年」13/千世鳳

鼻の頭にぷつぷつ汗をかいたヨンエが、キルスの手からホミの柄をひったくった。 「そんな手荒にしたら、腕をくじくじゃないか」 「だって、そんなにぐずぐず削ってないで、もっと手に力を入れて早く削らなきゃ駄目…