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短編小説「燃える島」13/黄健

「いけない! きみの任務は、それではない」 大勲の言葉は厳しかった。それでも、彼の顔を哀願するような眼差しでじっと見つめていた貞姫は、あきらめたような、低い声で言った。 「それでは……、私にも手榴弾を…

短編小説「燃える島」11/黄健

どうか当たってくれるようにと心に祈るのだが、相手の敵艦は、あたかも野獣の群れのようにうようよしている。マストごとにはためく色とりどりの旗は、世にまたとない醜悪で憎いものに見えた。 ついにわが方の砲弾が…

短編小説「燃える島」11/黄健

どうか当たってくれるようにと心に祈るのだが、相手の敵艦は、あたかも野獣の群れのようにうようよしている。マストごとにはためく色とりどりの旗は、世にまたとない醜悪で憎いものに見えた。 ついにわが方の砲弾が…

〈聴くシンボ〉(1月17日-1月23日)

「聴くシンボ」は、朝鮮新報電子版 DIGITAL SINBOのニュースを音声でお聞きいただけます。同サービスでは、1週間の主要ニュースをピックアップし、毎週日曜日にダイジェストでお届けします。生活のさ…

短編小説「燃える島」10/黄健

大勲も貞姫もいい知れぬ喜びに目を輝かせていた。 あたりは、しだいに明るくなってきた。敵弾はますます激しくまわりをゆすぶった。しかし二人は、まるで戦争は遠くのことのように、幼い時代のこと、軍隊でのこと、…

短編小説「燃える島」9/黄健

「私を許してください! どうかあなたがたと一緒に最後まで進めるように、正しい道からはずれないように、はげましてください」 貞姫は、自分の考えだけを追いながら、そらんじるように言った。 大勲は、黙って机…

短編小説「燃える島」9/黄健

「私を許してください! どうかあなたがたと一緒に最後まで進めるように、正しい道からはずれないように、はげましてください」 貞姫は、自分の考えだけを追いながら、そらんじるように言った。 大勲は、黙って机…

短編小説「燃える島」8/黄健

彼女は、自分のことよりもいっそう中隊長のことで胸がいっぱいだったのである。やがて大勲が思い出したように、 「きみは……」とゆっくり重い口をひらいた。 「いまからでも、帰ったほうがよくはないか……」 「…