
短編小説「百日紅」 19/クォン・ジョンウン
2023年11月09日 09:00
「石灰が目に入ったようだ、涙がでて…」 顔をあげたヨンホは、涙を流しているヒョン・ウヒョクを見て、「お父さん!」と叫んでかれの胸に飛び込んだ。胸に顔を押しつけて両手を首にまわした。細い足が小刻みにふる…

〈在日発、地球行・第3弾 6〉運命を共にした記憶/モザンビーク
2023年11月06日 12:00
過去の連載記事はこちらから▶︎ 在日発、地球行・〈第1弾〉、 〈第2弾〉 真の独立への長い道のり 首都マプトに戻り、次なる目的地を隣国のジンバブエに決めた。宿で聞いたところ、移動手段には飛行機もしくは…

短編小説「百日紅」 17/クォン・ジョンウン
2023年11月05日 09:00
昼頃までにはセメントを埋め、その上から石灰でうわ塗りをはじめた。 三人とも石灰でまっ白になり、汗を流しながらうわ塗りをしていった。 トンネルはきれいに修理できた。仕事を終えると、三人は線路の土手に腰を…

短編小説「百日紅」 16/クォン・ジョンウン
2023年11月03日 09:00
それでも彼女は今日まで、党員である夫を心から尊敬し、愛してきた。だからこそどんな苦しみにも耐えることができたし、泣き出したくなるようなときでも笑顔を見せてきた。自分としては、傷痍軍人であり、保線要員で…

短編小説「百日紅」 15/クォン・ジョンウン
2023年11月01日 09:00
クムニョは信号灯をかざして立った。 そのとき、ヒョン・ウヒョクが家の戸口を開けて飛び出してきた。 「どうした、事故なのか?どうして応答の汽笛が鳴らないんだ?」 列車は通過信号を受けると応答の汽笛を鳴ら…

イスラエルのガザ侵攻、国連総会が決議採択
2023年11月01日 08:56
日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。 イスラエルのガザ侵攻、国連総会が決議採択 イスラエル軍による無差別攻撃が続くパレスチナ・ガザ地区で、人命被害が深刻化している。今月7…

短編小説「百日紅」 14/クォン・ジョンウン
2023年10月30日 09:00
クムニョは班長のあとを追って、つもりつもった自分の胸のうちを訴えた。 「数日後に小型トラックをよこしてください。むりにでも私、転任させますわ。ここではもうがまんできませんの。かぜがなおったらすぐ荷造り…

短編小説「百日紅」 13/クォン・ジョンウン
2023年10月28日 09:00
古傷のある足が最近とくに悪くなったので温泉で休養させてくださいと、訴えたかった。 しかし、夫の前ではそれを口に出すことができず、唇を噛んでがまんした。 話がはずむうちに、班長がごそごそと新聞を広げて新…