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短編小説「百日紅」 18/クォン・ジョンウン

敵機もこの地点をねらっていたにちがいなかった。 ヒョン・ウヒョクは機関士にむかって、10分以内に後退し貨車を二つに分けていんぺいさせろと指示した。 どれくらいたったのだろう。

短編小説「百日紅」 17/クォン・ジョンウン

昼頃までにはセメントを埋め、その上から石灰でうわ塗りをはじめた。 三人とも石灰でまっ白になり、汗を流しながらうわ塗りをしていった。 トンネルはきれいに修理できた。仕事を終えると、三人は線路の土手に腰を…

短編小説「百日紅」 16/クォン・ジョンウン

それでも彼女は今日まで、党員である夫を心から尊敬し、愛してきた。だからこそどんな苦しみにも耐えることができたし、泣き出したくなるようなときでも笑顔を見せてきた。自分としては、傷痍軍人であり、保線要員で…

短編小説「百日紅」 15/クォン・ジョンウン

クムニョは信号灯をかざして立った。 そのとき、ヒョン・ウヒョクが家の戸口を開けて飛び出してきた。 「どうした、事故なのか?どうして応答の汽笛が鳴らないんだ?」 列車は通過信号を受けると応答の汽笛を鳴ら…

イスラエルのガザ侵攻、国連総会が決議採択

日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。 イスラエルのガザ侵攻、国連総会が決議採択 イスラエル軍による無差別攻撃が続くパレスチナ・ガザ地区で、人命被害が深刻化している。今月7…

短編小説「百日紅」 14/クォン・ジョンウン

クムニョは班長のあとを追って、つもりつもった自分の胸のうちを訴えた。 「数日後に小型トラックをよこしてください。むりにでも私、転任させますわ。ここではもうがまんできませんの。かぜがなおったらすぐ荷造り…

短編小説「百日紅」 13/クォン・ジョンウン

古傷のある足が最近とくに悪くなったので温泉で休養させてくださいと、訴えたかった。 しかし、夫の前ではそれを口に出すことができず、唇を噛んでがまんした。 話がはずむうちに、班長がごそごそと新聞を広げて新…

短編小説「百日紅」 12/クォン・ジョンウン

クムニョは黙って本を受けとり、姿勢を正して読みはじめた。 すでに何回もくり返した『トンファ(敦化)の森林の中で』をもう一度読んだ。ほとんど暗誦している題目だけに朗読はよどみがなかった。読んでいるうちに…