短編小説「通信兵」 1/朴雄傑
2023年05月29日 09:00
本作品は、朝鮮戦争時代、敵の砲弾によって切断された電話線を自分の体でつないで中隊が敵の動向を正確に大隊長に知らしめることで我が軍を危機から救い、戦闘を勝利に導いた通信兵の英雄的な姿を描いた作品である。…
短編小説「伜は前線でたたかっている」23/李相鉉
2023年05月27日 09:00
申貞三はみんなに拳銃をふりかざしながら、山の斜面に穴を掘れと命じた。 「はよう掘らんか!」 申貞三は大声でどなりながら空に向けて拳銃をぶっ放した。 そのとき、うしろ手にくくられた萬基爺さんが「治安隊」…
短編小説「伜は前線でたたかっている」22/李相鉉
2023年05月25日 09:00
バーンズに射たれて死んだ2名の「治安隊員」の死体は、朝までその場に捨てられたままになっていた。許振風は「治安隊」事務所わきの井戸端にたっているしだれ柳の老木に、首を吊されてぶらさがっていた。萬基爺さん…
短編小説「伜は前線でたたかっている」21/李相鉉
2023年05月23日 09:00
―見つかったかな?― そう思いながら腰にさした短剣を抜いて、いっそう身を縮めて前方をうかがった。アメリカ兵は真直ぐ近寄ってきた。爺さんはさっと立ち上がるなり相手の胸に短剣を突き剌した。アメリカ兵は奇妙…
短編小説「伜は前線でたたかっている」20/李相鉉
2023年05月21日 09:00
遠くのほうで、誰か不要心に氷を踏みつける音がした。爺さんはどきっとした。 彼は米俵の積んである近くに来ると、立ち止まってあたりをうかがった。
短編小説「伜は前線でたたかっている」19/李相鉉
2023年05月19日 09:00
爺さんは許振風のあとからついていった。 コプニが息せききって村の方へ走っていくのが見えた。
短編小説「伜は前線でたたかっている」18/李相鉉
2023年05月17日 09:00
「米はどうした?」 「あのう…」 「何だって?」 「見つけました」
短編小説「伜は前線でたたかっている」17/李相鉉
2023年05月15日 09:00
爺さんはひと晩でことばつきまで変わった許振風の顔をちらと見上げると、真直ぐにハンズン広場の方へ上がっていった。そこの「七星岩」の下に埋めた15俵ほどの米俵の所在を確かめるためであった。案の定、掘り返し…
短編小説「伜は前線でたたかっている」16/李相鉉
2023年05月12日 09:00
爺さんは黙っていた。ただコプニのひたむきな心だけがひしひしと身にしみてうれしかった。
短編小説「伜は前線でたたかっている」15/李相鉉
2023年05月10日 09:00
年ごろにして自分の嫁ほどでもあろうか、引きずられていく女の後姿を眺めながら、爺さんは身震いをおさえることができなかった。彼は、こんどの任務をうまくやりとげることこそ、この獣どもにたいするしかえしである…