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短編小説「鉄の歴史」17/ビョン・ヒィグン

ビョンドは、だしぬけにしゃくりあげると、深くうなだれて肩をふるわせた。 かれの妻もチマのすそで顔をかくし、背中を向けた。

短編小説「鉄の歴史」16/ビョン・ヒィグン

「おまえをつれもどしにきたんだ!」 「何だって?わしをつれもどしにだって?」

短編小説「鉄の歴史」15/ビョン・ヒィグン

ウンチルの脳裏には、日本帝国主義者の水力発電所工事場で生埋めにされた父のこと、14歳のときから日本帝国主義者の鉄工場でむちうたれながら働いたこと、製鋼所へ来てからの苦役、鉱石を背負ってその重さにたえき…

短編小説「鉄の歴史」14/ビョン・ヒィグン

それは、前途に不安を感じ、なすすべを知らず、ぼうぜんとしていた人々が、将軍の教えにしたがって、怒涛のように前進しようとする姿であった。考えれば考えるほど、ウンチルは胸がはずみ、夢のような気がしてならな…

短編小説「鉄の歴史」13/ビョン・ヒィグン

「お会いしたとも。おそらく私がいちばんはじめにおめにかかったはずだ。それなのに、私ときたら…」 ウンチルはまるで罪でもおかしたような呵責を感じながら、トクマンの家を後にした。するとおおぜいの人々が工場…

短編小説「鉄の歴史」12/ビョン・ヒィグン

「な、何だって。それはほんとうか?」 「そんな人さわがせなうそをついてどうなります。町ではもううわさでもちきりですよ。これであたしたちの暮らしもかわるだろうって」

短編小説「鉄の歴史」11/ビョン・ヒィグン

「もちろん、それはやさしいことではありません。しかし、この世で労働者にできないことは何一つありません。工場も機械も、家も大砲も、飛行機も軍艦も、労働者が力をあわせればりっぱにつくることができるはずです…

短編小説「鉄の歴史」10/ビョン・ヒィグン

「そういわれてみると、まったくそのとおりです。今までわしらは、炉の壁でもつみあげてさえいればよかったで、世間のそんなむずかしいことなど、なにも知らなかったもんで…」 ウンチルは自分があまりにも世情にう…

短編小説「鉄の歴史」9/ビョン・ヒィグン

「じっとしていられないんですよ。将軍さまが政治を治めなくちゃ、わしらのような貧乏労働者の暮らしはよくなんねえという話ですだよ。将軍さまさえいらしてくださりゃ、わしらは、昔とちがって思いきり働けるという…

短編小説「鉄の歴史」8/ビョン・ヒィグン

――金日成将軍さまがきてくださればどんなにすばらしいことか!だが、ご多忙の身であるお方が、こんなところまでおいでになられるはずがない―― ウンチルが、こんなことを考えながらぼんやり立っていると、背後か…