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〈同胞美術案内 11〉連載を終えて/たくさんの応援に励まされ

激動の時代刻印する作品の数々 「私は在日朝鮮人美術史を専攻しています」と自己紹介するたびに、「研究するほどの在日朝鮮人美術家がいるのか」とよく聞かれます。今回、連載を打診された時、「この機会を逃しては…

〈朝鮮の風物・その原風景 8〉農楽戯

楽天的で歌舞好きの民族性 世に歌と踊りを好まぬ民族はないといわれるが、朝鮮民族もその例外ではない。 同胞の集う花見遊山は、歌と踊りで大いに盛り上がるのが常だし、同胞結婚式には参列者が総出で踊りの輪をつ…

〈同胞美術案内 10〉成利植/即興的な作品に込められた時代の息吹

弾む形と響きあう色 解放直後の美術家たちの足取りはほとんど知られてない。美術家に関するまとまった資料は最も古いもので1962年の「画集」であり、それ以前のものはほとんどない。解放直後の美術家の動きを知…

〈朝鮮の風物・その原風景 7〉オンドル

母のぬくもりと家族の団らんと 音もなく雪の降り積もる冬の夜長に、朝鮮の子どもたちはオンドル部屋で夜なべ仕事に余念のない親たちにせがんで昔話を聞く。かつてはこんな光景がごく普通の風物として私たちの周囲に…

〈民族楽器のルーツをたどる・ウリナラの楽器 1〉伽倻琴(カヤグム)

「幅広い民族音楽」を実現 祖国-朝鮮から民族楽器が送られてきて早40余年が過ぎた。それが私たち在日同胞の民族楽器の歴史の始まりといえよう。小さな手に楽器の温もりを感じたのが昨日のようで、時の流れの速さ…

〈同胞美術案内 9〉尹光子/40代後半で絵画を本業に

のびのびとした自然の風景 絵画には画家の心が動かされた物事とともに、それをみつめる画家のまなざしが表現される。 本作者は自然をどのように見つめているのであろうか。 ある池のほとり。画面右から暖かな秋の…

〈朝鮮の風物・その原風景 6〉トゥレ(集落相互扶助組織)

農民の暮らしと農業を支える 朝鮮には、古くから骨の折れる農作業を村民が集団で助け合っておこなう風習が存在した。李朝時代の風俗画にも農楽旗を先頭に銅鑼や鉦、太鼓など、農楽隊のにぎやかな楽にあわせて田植え…

〈同胞美術案内 8〉金漢文/自然に対する感情を作品に

変化する波動と不動の岩 芸術作品の中にこそ真の自然の姿が宿る。 金漢文(1936-1991)の作品「夜明け」。 地平線の向こうから続く海と、その海底深く根を下ろした岩々が描かれる。波は画面左右に揺らめ…

〈朝鮮の風物・その原風景 5〉キムジャン

国あげての一大年中行事 朝鮮では、立冬を迎えるとあわただしい冬支度にとりかかる。その代表格はなんといってもキムジャン(キムチ漬け)だろう。キムジャンは、かつては国あげての一大年中行事で、この時期になる…

〈同胞美術案内 7〉全哲/読者惹きつけた4コマ漫画

在日朝鮮人の歩みをたどる 漫画の命は線である。連続する一定の大きさの枠内に、その線で描かれ息を吹き込まれたキャラクターがさまざまな動きを見せる。一定の大きさの枠-「コマ」-の中にはキャラクターのみなら…