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〈朝鮮の風物・その原風景 12〉タルノリ(仮面戯)・その1

奔放無尽の造形、強烈な風刺性 タルノリとよばれる朝鮮の仮面戯は、近隣諸国のそれと比べてみても大変個性的な民俗芸能として知られる。 タルノリの歴史は古代まで遡るといわれるが、資料が乏しく全体像はとらえに…

〈民族楽器のルーツをたどる・ウリナラの楽器 4〉奚琴(ヘグム)

金、石など八つの材料で製造、女性好みの哀切あふれる音色 今回は奚琴(해금)を紹介しよう。 朝鮮では「ヘグム」(혜금)、または「ケグム」と呼ばれ、中国・元朝の時代には「胡弓」と呼ばれた擦絃楽器。地域によ…

〈朝鮮の風物・その原風景 11〉酒幕

民衆の喜怒哀楽映す酒文化 李朝風俗画の双璧と謳われる金弘道と申潤福の酒幕の絵は、同じ酒場に材をとりながらもそれぞれ異なった「世界」を描く。申潤福の「酒肆挙盃」が、暇を持て余し気味の両班と下級官吏を相手…

〈朝鮮の風物・その原風景 10〉市場

老若男女のにぎわい 市場は、筆者の好んで描くモチーフの一つである。市場がかもす独特の庶民的情緒と、そのバイタリティーに強く惹かれるからだ。都市の市場の活況も悪くないが、地方の市の人懐こい風情がとくにい…

〈民族楽器のルーツをたどる・ウリナラの楽器 3〉アジェン

ルーツは唐の軋筝(ヤーシェン)か、雄壮で、安定感ある音色 祖国からはじめて贈られた民族楽器は、当時、東京朝鮮第1初中級学校の新しく建てられた幼稚園3階講堂の、はめ込み式ケース棚(当時は鍵が付けられてい…

〈朝鮮の風物・その原風景 9〉スリナル(端午節)

若き男女の出会いの場 スリナル(端午節)は、正月、寒食、中秋と並ぶ朝鮮4大名節の一つ。朝鮮民族は陰暦の5月5日を、村を挙げ、いや国を挙げて盛大に祝い、こよなく愛でてきた。タノジョル(端午節)は漢字の音…

〈同胞美術案内 11〉連載を終えて/たくさんの応援に励まされ

激動の時代刻印する作品の数々 「私は在日朝鮮人美術史を専攻しています」と自己紹介するたびに、「研究するほどの在日朝鮮人美術家がいるのか」とよく聞かれます。今回、連載を打診された時、「この機会を逃しては…

〈朝鮮の風物・その原風景 8〉農楽戯

楽天的で歌舞好きの民族性 世に歌と踊りを好まぬ民族はないといわれるが、朝鮮民族もその例外ではない。 同胞の集う花見遊山は、歌と踊りで大いに盛り上がるのが常だし、同胞結婚式には参列者が総出で踊りの輪をつ…

〈同胞美術案内 10〉成利植/即興的な作品に込められた時代の息吹

弾む形と響きあう色 解放直後の美術家たちの足取りはほとんど知られてない。美術家に関するまとまった資料は最も古いもので1962年の「画集」であり、それ以前のものはほとんどない。解放直後の美術家の動きを知…

〈朝鮮の風物・その原風景 7〉オンドル

母のぬくもりと家族の団らんと 音もなく雪の降り積もる冬の夜長に、朝鮮の子どもたちはオンドル部屋で夜なべ仕事に余念のない親たちにせがんで昔話を聞く。かつてはこんな光景がごく普通の風物として私たちの周囲に…