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〈朝鮮と日本の詩人 15〉蔵原伸二郎

冬の山道なり。 残照明るきところ、 三人の朝鮮人立ちいたり。 彼らの頭上に白い雲が輝き、 背高き一人はアメリカ煙草を吹かし、 一人は苦き顔して論議し、 肥えたる他の一人は黙然たり。 この寂寥なる風物の…

〈朝鮮服飾ものがたり 13〉チャンオク

15世紀中頃から女性が出かけるときにかぶった。 袖口に「汗衫」(ハンサム)と呼ばれる、女性の手を隠すための白い筒状の長い布があてがわれた、コルムをつけたトゥルマギである。 庶民の女性たちが着た。 (出…

〈若きアーティストたち 39〉シンガーソングライター・尹英蘭さん

「私が生まれた時から 祖国は二つでした/悲しい歴史がこの地を引き裂こうとも 互いに求めあった/初めて会えた時どうしよう そんな夢に心躍らせ/どこか懐かしいその笑顔 全てを解き放とう/一緒に歌おう この…

〈人物で見る朝鮮科学史 14〉武寧王とその時代(下)

「百済」をそのまま音読みすれば「ひゃくさい」であるが、それを「くだら」と読むのは「大きい国」を意味する「クンナラ」に由来するというのが定説である。また、「くだらない」という表現は「百済にない」という言…

〈朝鮮と日本の詩人 14〉伊藤信吉

2002年に95歳で永眠した伊藤信吉は、私の知るかぎりでは、明治以後の日本の詩人のうちでもっとも永く生きた詩人である。彼が身近に接した詩人は島崎藤村、萩原朔太郎、室生犀星、高村光太郎ほか十指に余り、そ…

〈朝鮮服飾ものがたり 12〉トゥルマギ

もとは上着の下に着る服であったが、身分の低い者は法により「道袍」や「チュンチマク」を着ることができなかったため、トゥルマギを上着代わりに着ていた。 のちに道袍とチュンチマクがなくなり、すべての人々が、…

〈続・朝鮮近代史の中の苦闘する女性たち 11〉事業家・白善行

白善行は、苦労して築いた財を惜しむことなく社会のために喜捨し、奇特な人として尊敬された女性である。 彼女は、京畿道水原の貧しい家庭に生まれ、幼いとき平壌の中城に移り住むが、7歳の時、父、白持鏞を失う。…

〈朝鮮と日本の詩人 13〉大江満雄

ぼく達 雪の桑畠で鉄砲うった 朝鮮労働者とぼくが身震いしたのだ 話し合い とけ合い胸んなかをふるわす こ奴は鉄砲だ 赤城 榛名 妙義 浅間が見える 涙ってやつは感情の火薬だ 相手の男はぐいぐい歩いて行…