民族音楽への一途な思い/民楽25周年記念公演、500人で盛況
2016年08月01日 15:18 文化挑戦重ねた日々
「民族楽器重奏団民楽(ミナク)創立25周年記念公演」が7月31日、よみうり大手町ホール(東京都千代田区)で行われた。
1990年3月の創立から25年。異国の地で、民族楽器の普及、発展に尽力し、後継者の育成に力を注いできた民楽の公演には、朝・日の音楽ファン約500人が詰めかけ、会場を埋め尽くした。
懐かしい音色
合奏「豊年の喜び」、「歓喜」と躍動感あふれる舞踊曲で幕を開けた公演。この日に合わせて、新調したという鮮やかなサーモンピンクのチマとグレー地に花の刺繍がほどこされたチョッサムの団服が、舞台に彩りを添える。木管4重奏「水車よ回れ」や、洋琴(ヤングム)奏者の孫明純さんによる独奏「アリラン」「星に想いを」、伽耶琴(カヤグム)2重奏「サルプリ」など各楽器の技巧を凝らした魅力あふれる演奏が会場を包む。6重奏「黄金の原野」では、稲穂波打つ農村の風景や農民たちの生活感情が表現され、重奏「リョンガンキナリ」では印象的なチャンセナプの音色が響き渡る。合奏「糸車のうた」に続き、最後に披露された「海の歌」の迫力あふれる壮大な調べには、客席からアンコールを求める手拍子が巻き起こった。
公演後「感動がおさまらない」と興奮の面持ちで語ったのは、初めて民族楽器の演奏を聞いたという佐藤博行さん(59)。「西洋とは違う朝鮮独自の楽器でこんなに立派なオーケストラを作れることにびっくりした。こぶしが聞いていて、ノスタルジーを感じさせる民族楽器の音色は、伝統的な色を残しつつもジャズを彷彿とさせるような響きもあり、非常に興味深い」と話した。
中国朝鮮族の金慶華さん(39)は「四半世紀にわたり、音楽を通して民族の根っこを守ってきた民楽の活動は素晴らしい」とし、「懐かしさあふれる演奏に、今は亡き故郷のオモニの姿が浮かび、涙が出た。異国の地で民族を伝える重要性を改めて教えてもらった気がする」と語った。
次世代につなげる
康明姫団長を中心に創立以降、在日コリアンの民族音楽集団として、コンサートやCDのリリース、各地の学校での技術指導など、多方面で活躍の幅を広げてきた民楽。