「キューポラのある街」の風景
2015年09月04日 09:40 資料在日朝鮮人の帰国事業に対する日本国民の反響はおおむね好意的であった。新聞、テレビなどのマスコミも帰国事業を人道的事業として扱い、報道した。
主人公(吉永小百合)は、鋳物工場の直立炉(キューポラ)が立ち並ぶ埼玉県川口市の鋳物職人の娘である。生活が苦しい家庭で高校進学問題で悩む主人公は、近所に住む在日朝鮮人の家族、貧困の中でも希望を失わない人々との交流を通じて、自立して働きながら学んでいく道を選ぶ。
映画には帰国する在日朝鮮人の家族を主人公が見送る場面がある。川口駅前で共和国旗を振り「金日成将軍の歌」を歌う在日朝鮮人たち、歓送する日本の住民たち。家族を乗せた新潟行きの列車が見えなくなるまで、力強く手を振り続ける主人公。映画のモノクロ画面に60年代初頭の日本の世相が凝縮されていた。
「キューポラのある街」は公開当時、高い評価を受けて商業的にも成功した作品であった。
(朝鮮新報)