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〈人物で見る朝鮮科学史 70〉実学の時代(1)

2008年11月07日 00:00 歴史

西洋知識の導入図った金堉など

柳馨遠の「磻渓随録

柳馨遠の「磻渓随録」

朝鮮王朝時代の科学技術を鳥瞰した時、二つの大きな山がある。一つは前期の世宗時代の科学技術であり、もう一つは後期の「実学」である。

壬辰・丁酉倭乱とその後の清国の侵攻などにより、国土は荒廃し人々の生活も貧困化するが、にもかかわらず両班貴族たちは権力闘争に明け暮れていた。そのような状況下で朱子学の空理空談を廃して国を富強にし、人々の生活向上に役立つ学問を追求する学者たちが登場する。それが実学へと結実するのである。実学とは「実心の学」であり、目的において「実用之学」を目指し、方法論として「実事是求」(事実に即して真理を求める)を追究する学問である。実学というと一般的には単に生活に役立つ学問と思われがちであるが、17世紀以降の朝鮮や中国、日本における実学は特別な意味をもつ。というのも、当時、西洋では力学を基本とする近代科学が発展していたのだが、東洋ではそのような展開がなく、それと対峙するかのように実学が盛行していたからである。

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