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〈人物で見る朝鮮科学史 31〉高麗の科学文化(4)

2007年06月08日 00:00 歴史

版画の手法を生かした良質の高麗紙

高麗紙

高麗紙

朝鮮が世界に誇る高麗の金属活字印刷であるが、そのためには解決しければならないくつかの問題があった。まずは、金属活字それ自体を鋳造する金属加工技術である。古代から新羅に至る金属加工技術については、これまでも言及してきたが、その高い技術は高麗にも受け継がれた。いくつかの具体例を挙げてみよう。996年に朝鮮で初めて通貨が鋳造されたが、とくに1102年「海東通宝」1万5000貫の鋳造がよく知られている。当時、「高麗銅」は最高の品質を誇ったが、例えば八万大蔵経版木両端の銅板はその純度が99.6%にも達していた。また、現在も朝鮮の食卓で見られる真鍮(銅と亜鉛の合金)の器が作られはじめたのも高麗時代のことである。さらに、製鉄技術は巨大な仏像を鋳造するほどに発展した。そのような金属加工技術は芸術品へと昇華し、金属表面に模様を刻みそこに別の金属を埋め込む独自の象眼手法が生まれた。

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