〈人物で見る朝鮮科学史 14〉武寧王とその時代(下)
2006年07月22日 00:00 歴史「百済」をそのまま音読みすれば「ひゃくさい」であるが、それを「くだら」と読むのは「大きい国」を意味する「クンナラ」に由来するというのが定説である。また、「くだらない」という表現は「百済にない」という言葉からきているともいわれている。百済に対する古代日本人の憧憬心を表しているが、実際、百済は科学技術先進国として日本に大きな影響を与えている。
それらは「日本書紀」を通じて具体的に知ることができるが、その典型例として百済の近宵古王(在位346~375年)が日本の使臣に鉄蹄(=ねりがね)40枚を与えたという記述を挙げることができる。鉄蹄は鉄を延べ板状に加工したもので、さまざまな鉄製品を造る原材料となるものである。古代史において鉄の役割についてはこれまでも強調してきたが、当初、日本では鉄を国産できず洛東江流域の伽倻諸国から輸入していた。伽倻の遺跡や日本の北九州地方から鉄蹄が出土されており、それが日本の鉄器文化を展開する土台となったことはまちがいないだろう。ゆえに、百済が日本に鉄蹄を与えたという事実は、百済を「クンナラ」とする両国の関係を端的に物語るものといえる。